第29話 ページ31
イシド「…そうか、太陽とそんな会話を」
あの後病室に帰ってきた豪炎寺さんとともに病院を後にし、車の中で願掛けの件について説明した。
A「あの提案をしてきた太陽の意図が分かりません。豪炎寺さん、結局太陽は何者なんですか」
イシド「Aは新雲学園の『10年に1度の天才ストライカー』の存在を知っているか？」
質問を質問で返された。
私の質問とは無関係な気がするが、一応質問に答える。
A「まぁ、知ってますけど…。それがどうかしたんですか？」
イシド「その『10年に1度の天才ストライカー』は、太陽の事なんだ」
A「太陽が『10年に1度の天才ストライカー』！？」
先ほどの病室での会話を思い出す。
サッカーは好きだが激しい運動はほとんどできないと言っていたはずだ。
A「太陽は激しい運動はあまりできない、と言っていましたが」
イシド「本人に聞いたのか。確かにその通りだが、全くできない訳ではない。闘病しながらも新雲学園のサッカー部に入部し、体の調子の良いだけ試合に参加していたんだ。たった数回、試合にもフルで出られたわけではないにもかかわらず、そう呼ばれるほど有名になっていった」
サッカー強豪校である新雲学園には優秀なプレイヤーがたくさんいる。
そんな中、数回試合に出ただけで有名になるなんて。
A「すごい実力の持ち主なんですね…」
イシド「あぁ、しかし体の方がついていかないんだ。このホーリーロードも出られるかどうか危うい。おそらく太陽はお前に願掛けと称して宣戦布告をすることで、試合に出て活躍すると宣言したのだろう」
A「つまり、雷門が準決勝まで勝ちあがってきたら自分の手で勝ってみせる、ってことですか」
どうやら私は、自分で思っていたよりも大きく、そして複雑な事に巻き込まれていたらしい。
イシド「そういえばA、エクスターという組織を知っているか？」
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作者名：master_2 | 作成日時：2023年3月19日 11時
