第26話 ページ28
豪炎寺さんのあとをついて行くと、ある病室に辿りついた。
病室前のプレートには『雨宮太陽』と書いてある。
A「雨宮…太陽……？誰なんですか？」
イシド「説明は後だ、入るぞ」
スライド式のドアを開け、中をのぞいてみると……誰もいなかった。
A「え、透明人間……？」
イシド「そんなわけないだろう。アイツ、また脱走したのか…」
そんな会話をしていると、廊下の方から2人の話し声が聞こえてきた。
「また脱走して…」
「だって、サッカーの試合見てたらやりたくなっちゃって…。あ、イシドさん！！」
声のする方を見てみると、私と同い年くらいの男子と看護婦さんが立っていた。
A「冬花さん！」
そう、看護婦さんというのは、10年前にイナズマジャパンのマネージャーをやっていた久遠冬花さんのことだ。
イシド「いつもすまないな」
冬花「気にしないで、もう慣れちゃったし。豪炎寺くんの方こそ、いつもありがとう」
2人が普通に会話しているのを見て懐かしく思えたが、どこか違和感を感じた。
A「…ってあれ？なんで普通に会話してるんですか？今『豪炎寺くん』って…」
イシドシュウジが豪炎寺さんだって知っているのは、虎丸さん、砂木沼さん、アフロディさん、そして私だけのはず。
なのになんで……？
イシド「お前にはまだ言っていなかったな。久遠、それに太陽もこちら側の人間だ」
話を聞くところによると、冬花さんと雨宮太陽って人も豪炎寺さんの協力者で、私がまだゴッドエデンにいた頃は色々なことを手伝ってもらっていたらしい。
イシド「久遠、太陽の主治医と話がしたいんだが」
豪炎寺さんがそう尋ねると冬花さんは手元の資料を確認した。
冬花「今の時間なら…うん、空いてると思う。案内するね」
イシド「ああ、頼む。太陽、A、少し席を外すぞ」
冬花さんと豪炎寺さんが病室から出て行ってしまい、私と雨宮くんが取り残される。
初対面なこともあり何を話していいかもわからず、気まずさを感じていると雨宮くんの方から話を振ってくれた。
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作者名：master_2 | 作成日時：2023年3月19日 11時
