第20話 ページ22
A「……ねっむ」
気持ちの良い朝日が入る自室で、目をこすりながら文字が羅列したモニタを眺める。
昨日の帰宅後、多少の休憩は取りつつもぶっ通しで廃校の件を調べ続け、気が付くと太陽が東から昇っていた。
つまり徹夜した、ということだ。
さすがに少しは寝ればよかった、と後悔するがもう遅い。そろそろ学校へ行く準備を始めないと遅刻してしまう。
モニタの電源を落としてから自室を出て洗面所に向かう。
鏡に映った自分の顔色の悪さに思わず苦笑してしまう。
A「うっわ…隈ひどいな…」
メイド「お嬢様、おはようございます。そろそろ学校のご支度をした方が良い時間かと…お嬢様！？」
あまりの顔色の悪さにメイドが驚きの声を上げる。
今晩はしっかり寝てくださいね、と少し強めに念を押されながらファンデーションで顔色を整え、コンシーラーで隈を隠してもらう。
その後コックが手軽に食べれるように作ってくれていたおにぎりとみそ汁を食べ、制服に着替えて家を出る。いつもよりも朝日がまぶしく感じた。
A「じゃあ、いってきます…」
執事「いってらっしゃいませ、お嬢様。あまりご無理なさらないでくださいね」
みんなに余計な心配をかけてしまったのは申し訳ないな、と思いながら足を進める。
A「それにしても、徹夜までしたのに全然情報掴めなかったな……」
ボーッとしながら登校していると、いつの間にか河川敷前まで来ていた。
河川敷には、ポツンとボールが1つだけ置かれている。
忘れ物、かな…？
A「眠気覚ましでもするか」
周りに知っている人がいないか確認すると河川敷に降り、ボールを勢いよく蹴った。
ネットを揺らす心地いい音と共にボールはゴールネットに収まり、学校へ向かおうと河川敷の階段を上りはじめた時、上の方から聞き覚えのある声が聞こえた。
「すごいよ！！」
A「ゲッ……」
その声の主は、目を輝かせた 松風天馬 だった。
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作者名：master_2 | 作成日時：2023年3月19日 11時
