第11話 ページ13
執事「お嬢様、こちらへ」
A「ありがとう」
家の者に促されるままダイニングへ通され、カトラリーがきれいに並べられたテーブルを前に着席した。
執事「では、何からお話しましょうか」
A「私から話すよ、両親の事故の事とこの10年間の事。いや、話させてください」
---10年前---
私たち家族は比較的出かける事が多かった。
その日も、いつも通り父・母・私の3人で出かけていた。しかしその帰りに思いもよらぬ事が起こったのだ。
青信号になった横断歩道を、両親に手を引かれ、渡っていた時のことだった。
どこからかエンジン音が聞こえてくる。音のする方を向いてみると、大きなトラックが目に入った。そのトラックは勢いを緩めることなく、こちらに突っ込んでくる。
そして真ん中にいる私が重傷を負う
はずだった。
父「Aッ！！」
母「危ない！！」
私を守ろうと両親が私を後ろへ追いやり、目の前に飛び込んできたのだ。
目の前の光景が信じられなかった。
血しぶきがついたトラックと、血まみれでぐったりと倒れている両親。
A「いやぁぁぁぁぁぁぁぁああッ！！」
人通りが多かった事もあり、トラックの運転手は捕まり、両親はすぐさま稲妻病院へと運ばれた。しかし両親の意識が戻る事は無かった。
この事故の原因はトラックの運転手の前方不注意だったらしいが、正直そんなのどうでもよかった。
両親は私を守ろうとして、轢かれてしまった。
『私が、両親を殺したんだ』
私は病室の前で泣くことしかできなかった。こんな状態で家に帰れるはずもなく、ずっと病院に居続けていた。
そんな時だった。
あの人が、
「どうして泣いているんだ？」
豪炎寺さんが声を掛けてくれたのは。
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作者名：master_2 | 作成日時：2023年3月19日 11時
