第10話 ページ12
フィフスセクターへの報告が終わった私は、携帯をいじりながら家に帰っている。
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今日、家に帰ります。
A
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簡素すぎる文章だがこれ以上何を書いていいかもわからず、かといって何の連絡もなしに帰るのもどうかと思いメールを送る。
A「家、かぁ……。何年ぶりだっけ」
なんとなく重い足取りを引きずりながら家にたどり着く。
城之院家玄関前、何年振りかの自分の家の前に立ち、校舎と同じくらい大きな建物を見上げる。
家に帰ってきたはいいものの、入りにくかった。
家出のように家を飛び出してきたあの日以来、何年間も帰ってきていない。
行き先も伝えず、連絡もとらず、みんな怒ってるだろうな。
しかし野宿するわけにもいかないので、勇気を振り絞ってドアを開ける。
A「た、ただいま……」
すると目の前には信じられない光景が広がっていた。
執事・メイド「おかえりなさいませ、お嬢様」
玄関からずっと先まで続いている長い廊下に、家の者たちがずらりと並んでいたのだ。
執事「お待ちしていました」
コック「ご夕食の準備は出来ていますよ」
メイド「さぁ、こちらにどうぞ」
ダイニングの方へと促されたが立ち尽くしたままの私に、メイドがお嬢様？と顔を覗き込んでくる。
A「なんで？私、勝手に家を出て行ったんだよ？なのになんで怒ってないの？なんで前と同じように接してくれるの？」
メイドは一時考える素振りを見せると、こう言った。
メイド「とりあえず向こうの部屋に行ってからお話いたしませんか？」
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作者名：master_2 | 作成日時：2023年3月19日 11時
