文系ちゃんと保護者くん (ページ14)

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アドバイザー枠での企画会議の出席を、と福良さんに発案されたときは、俺も川上も河村さんも同意した。
彼女が戦力になることは概ね皆に証明されている。

結果的にスカウトしたということになってしまった川上も、安心しながらAさんを見守っている。一昨日は、投げやり依頼の教授にも仕事が見つかったことを報告できた、と一息ついていた。俺たちなんとかなったぞ。

そんな彼女も、この空間に馴染んできている。ここ最近のAさんは、学校帰りにオフィスで校正の勉強をしつつ、動画編集なり編集部なりに呼ばれたら助太刀をしに行くなんて姿が定着した。

しかし同時に、Aさんには問題点があることが皆に共有され始めている。

それは生活能力が皆無であり、集中していると極端に時間を忘れてしまうことだった。

Aさんは何事も読書勉学優先の人だった。
勉学も優先範囲に入っているおかげで大学の出席や単位には影響がないようなのだが、それ以外が大変よろしくない状況だった。

それはすべて、最優先事項となる読書のせいである。

彼女は本を読む、ひたすら読む。
話しかけたり仕事をしていたりする時はさすがにしていない。
だがそれ以外がダメだった。
食事内容は適当、睡眠は忘れるんだとか、土日は外に出ないらしいので召集が難しい、というか来ない、平日も4日に1回のペースで忘れてそのまま来ない、なんていうザマ。

ちなみに、企画会議への出席という提案は、Aさんが来ないという理由で実現したことがないのである！

「読書好き、というよりも中毒者みたいなんですよっ！」

だなんてそう評したのは、こうちゃんだったか。
同学年で関わりが多くなっているが故、振り回されることも多い彼の呻くような、絞り出すような本音である。思わず吹き出してしまったが、同じく横で聞いていた河村さんもふぅん、だなんて目を見開いた後、面白いねぇだなんて笑っていた。

AAさんが加入して一ヶ月。
今はこうちゃんや山森さん含めた世話焼きの面々がフォローしているが、依頼者の教授の言うとおり、彼女はなかなかに癖が強い人間だった。だがしかし、俺らとしては即戦力が加入したのは言うまでもないことでもある。