I wanna dye you (ページ10)

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彼女は宣言通り色々なことを教えてくれた。
わたしがいる家は村の外れにあり、村には人が沢山いて、街に出ればさらに沢山の人がいる。

言葉はその地域の方言があり、私のような喋り方をする人は村にはいない。わたしは彼女の言葉の見よう見まねで喋り方を改めた。

面の人が来る時間になると、わたしは何となく彼女を帰した。ここから出ては行けないと言う人に彼女の存在を話せば二度と会えないかもしれないという直感が働いたのだ。

彼女はそれから毎日私を訪ねた。見たことも無いものを持ってきてはわたしを驚かせた。

A「わたしっていうん、やめへん？男がわたしっていうん変やで？長老みたい。男なら男らしく、俺か僕！」

T「Aはどっちがすきなん？」

A「俺やな！」

T「じゃあ、俺。」

彼女が来るようになって2週間ほど経った。

彼女が教えてくれる世界で、1番理解できないのは家族だった。産まれてくるのに親が必要ならば、わたし…俺の親はどうしているのだろうか？
彼女に疑問をぶつけると、彼女は、面の人は親では無いのかと聞いた。おれは分からないと答えた。

A「でも、ずっと面倒見てくれてるんやろ？もし産んだ親ちゃうくても、にえのこと愛してるから面倒見てくれるんやろ？」

T「愛してる…？わからん…でも、ずっと一緒におるのは面の人だけやし…あの人が家族なんかな…？」

無愛想で最近はここにいる時間も短い、無機質な面と被った布が急に愛おしくなった。
彼女はいった。ここから出ては行けないのもきっとなにか理由がある。一緒に住むのは家族だから。家族は愛し合うものだから。と。