I wanna dye you (ページ7)

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Y「おはよぉ。今日はまだ起きてへんねんな…なぁ…
…なぁっ、おい、大丈夫か？おい、起きろって！！！」

彼は人間だ。人間は水だけで生きることは出来ない。

手で触れれば彼の生命力が尽きかけているのを感じた。どれほど揺さぶっても彼は目覚めない。ボクは大きな声で彼を呼び続けた。動かない。

まだ生きている。でも、もうじき死ぬだろう。
体力の限界が来たのだ。だけどそれだけではない。彼に触れている手から、彼の声が聞こえてくるような気がした。

“死ぬんならええわ。生きててやりたいことなんてなんもない"

なんで…

なんでそんなに潔く消えようとするねん！？

ボクは、彼を揺さぶり続けた。
なんと呼びかければいいのだろう？名前さえも知らない、であって3日しか経ってない相手に、なぜこんなに心が締め付けられるのだろうか。

ボクは泣いていた。涙が止まらなかった。彼ともっと一緒にいたい。

ボクは…ボクは…

視界がホワイトアウトした。体が燃えるように熱くなる。

気がつけばボクは、力を使っていた。
吸血鬼には、特殊な力がある。空間も、記憶も、命すらも操ることが出来る。
使ったことは無かった。この力の使い方を信ちゃんから学んだ時、彼に本当に必要な時以外、容易に使っては行けない言われたからだ。この地球の中で、ボクらだけ流れる時間が違う。使い方を誤ればそれからずっと、後悔し続けることになると。

そんなことも忘れるくらい、ボクは衝動のままに動いた。

彼の寿命を巻き戻し、彼を抱えて少し離れた街まで飛んだ。稲妻のように降り立ち、力を振り絞って叫んだ。
ボクの叫びはそこから届く限りの人の記憶を操作した。
町外れの一軒家に、親をなくした男兄弟が住んでいる。そんな記憶を植え付けた。

命を操作された彼は、生きながらえたものの、自然の摂理から外れたがために、いつまでも目を覚まさなかった。

ボクは衝動的に発散するように力を使ったことで、空を飛んだり、空間をとびこえたりすらできなくなった。

ボクは残った力を使い、目を覚まさない彼の体に直接栄養を送り込み、彼の命の灯火を守り続けた。