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翌日朝早く、家の戸を誰かが叩いた。開けると、そこにはななと、彼女の兄が立っていた。たつと同い年のひろみつという名の彼は、昨日の礼に来たのだった。それ以来ひろみつは何かとたつに声をかけてくれるようになったし、ななはとてもたつに懐いた。
たつの心の壁は分厚く高いけど、それをどんなに乱暴に乗り越えたとしても、その奥の心に優しく触れると分かれば、たつはもう壁を持ち出そうとしない。ひろみつはそういうやつだった。陽気で社交的な彼とすぐに仲良くなったことで、彼を通じてたつの交遊は一気に拡がった。
小さな子供ともよく遊んだし、やえさんの家で食事をするようにもなった。
ななの無邪気な行動は、ボクらに大きな贈り物をくれたのだった。
たつは、背が高く整った顔をしていて、年下とも同等に接するので小さな子供たちからまぁモテた。
ボクも好かれる方だとは思うけど、たつのモテ力は天性のものだった。彼の笑顔は人を集める。彼さえ壁を無くすことが出来れば、誰も彼に壁を作らない。
そうして5年の月日をたつと共にすごした。20歳になるたつに、そろそろ嫁のことも考えてやろうという時期に、事件は起こった。
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作者名：らむ倉 | 作成日時：2020年8月10日 0時
