I wanna dye you (ページ1)

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・プロローグ side丈一郎ページ1

丈side
関西のどっか山奥、結構歩いてやっとたどり着いた洋館。
始めてくる場所やけど、なんとなく特別な気持ちになる。

だってここは、俺が生まれるずっとずっと前、横山くんと村上くんとすばるくんが、それから少し後には村上くんと丸山くんと安田くんが暮らしてた場所やから。

どれくらい前の話なんやろな？ひとりだった横山くんが、やっと見つけた自分と“同じ"仲間を守る為に作り上げた特別な場所やって言ってた。

ここには人間はやって来れない。横山くんがそういう風に作ったから、それは絶対。

ここに来れるのは、横山くんと同じ俺たち、吸血鬼だけや。
そんで俺が今日ここに来たのは、今ここを住処にしてる人に相談をする為。正確に言うと、横山くんにそうしろって言われたから。

重たそうな扉は、俺が手を置くと俺を奥に誘うように音を立てずにゆっくりと開いた。
いくつかの部屋を通り抜けて、気配のする方へ進む。

3つ目の扉を開けたら、でっかいコテージのある部屋にたどり着いた。月光に照らされた、ここの今の主が、俺を見てくしゃっと音がしそうな笑顔を浮かべた。

Y「じょお、久しぶりやな」

刈り上げた短髪にバチバチにピアスをあけた耳、薄い色のサングラス、夜に溶けそうな上下黒い服。色つきガラスの下で大きな目がきらりと青く光った。

J「安田くん、ご無沙汰してます。えっと、今日は…」

Y「おにぃから聞いてるで。相談あるんやってな！ボクで良かったらなんでも聞くで？」

治安の悪そうな風貌ではあるが、声色からわかる通り、安田くんはとても優しいひとだ。
でも、俺の悩みは、軽々しく人に言えることじゃない。
少し逡巡していると安田くんが口を開いた。

Y「言いづらいんか？おにぃ、ちゃんと説明もせんととりあえずボクんとこ行けとか言うたんちゃう？」
「…やっぱり笑まぁでも、おにぃが言うことには絶対なにか意味があるから。ボクに相談しろってことは、きっとボクが聞かなあかんことやと思う。」
「言いにくかったら言わんでええけど、おにぃが言うんやったらボクはじょおの力になれるで。」

そうだ、横山くんが言うことは少し言葉少なですぐには分からないことが多いけど、いつも消して間違わない。俺は口を開いた。

Y「…なるほどね、それでボクかぁ…」
Y「じょお、ちょっと昔話してもええかな？長くなるかもしれへんけど、じょおにとっても多分、大事な話やと思うから。」

俺が頷くと、安田くんは話し始めた。