6話 ページ6
今日、先生と容態について話していた。そもそも、危篤状態だったにも関わらず、こうして起き上がれていることが不思議なくらいらしい。
最初は支えてもらわないとキツかったが、今は支えてもらう必要もなく軽々と起き上がれている。だから、回復していると判断できるらしい。
急速に回復しているのが奇跡に近く、急に体調を崩す可能性もあるらしい。元々身体が弱いからと、無理をしないよう念を押された。
病院の中では看護師さんの出入りがあるから、無理のしようがない気もするが。
本当に治るのか不安もあるが、あの人の言っていたことを信じてもいいのかもしれない。だからこそ、約束もしっかり守ろうと思った。
今日も彼が私の部屋に訪れてきた。私が最初に目覚めた時よりも、少し疲れたような顔をしている。
彼は無意識かため息を、何十回とついている。心做しかやつれてるように見えるため、何も無いなんてことは絶対ありえないなと思った。
「ねぇ、今かけてる眼鏡外して見て」
「眼鏡を？どうして？」
「良いから外して？そしたら、ここに座って」
何を言っているのか分からないという顔をする彼に、強引に眼鏡を外させ私のいるベッドに座らせる。
それでも、素直に従ってくれる彼の頭をそっと、私の肩に抱き寄せた。さらに混乱する彼の背中を優しく撫で始める。
できるだけ優しい声で。できるだけ、安心するように。
「今の貴方、凄く辛そうな顔をしてる。無理に背負い込む必要なんて無い。何があったのか、貴方が話したい時に話してくれれば良い。だから、今は無理して泣くのを我慢しないで」
「……うん」
私の腕の中で、小さく震える背中を包み込む。きっと、彼はなんでも抱え込んでしまう人なんだと思う。
ほんのちょびっとでも、泣いてスッキリ出来ればな、なんて思ったり。優しい彼は、中々弱音を吐くことは無いのだろう。
だけど、それが逆に自分を何度も追い詰めて、自分自身の心にいくつもの傷を作ってしまう。一度傷が着いた心は、簡単には癒せない。
私は彼じゃないから、彼の気持ちを理解することなんて到底できない。私が病院で優しい人に恵まれても、彼はそうじゃないかもしれない。
チクチクと、小さな針で痛めつけられた彼の心が今にも悲鳴をあげそうだ。
「私は貴方じゃないから、貴方に何があって何に苦しんでるのかは分からない。だけどね、たった1人の家族だから、貴方が辛い思いをしてる事は分かるの」
彼が、弱々しく私を抱きしめた。
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月詠乃朱(プロフ) - 朝桐さん» いつもありがとうございます。朝桐さんもお気をつけて！ (2022年12月24日 11時) (
レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 続編楽しみにしてます！年末年始、今年は特に寒いのでお体にお気をつけて！ (2022年12月23日 22時) (レス) @page50 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠乃朱(プロフ) - 朝桐さん» 秋山さんのストーリーも楽しんで貰えて何よりです。次回の更新、楽しみにしていてくださると嬉しいです( *´꒳`*) (2022年10月19日 23時) (レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - あ、秋山さーん？！？！？！ (2022年10月19日 23時) (レス) @page45 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠乃朱(プロフ) - アルジュマさん» コメントありがとうございます。そう言ってくださると嬉しいです(*^^*)キャストネームの方もありがとうございます。意味とかも調べながら検討したいと思います！ (2022年8月21日 22時) (レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月詠乃朱 | 作成日時：2021年7月31日 14時
