48話 ページ49
開け放たれた窓から生ぬるい風が入り込み、壁に駆けてあるサマーカーディガンが揺れてハンガーが音を立てる。部屋の扉が開かれたと思うと、リンドウが顔を出した。
彼の瞳が椅子に座っている私を捉える。
「おはよう、姉さん。今日はスターレスだよね？」
「おはよう。うん、そうだよ」
「もしよかったら一緒に行こう」
「もちろん、いいよ」
私がそう返事をすると、リンドウは笑みを浮かべた。私の目の前まで来ると、朝食を取ろうと手を差し伸べてきた。私は躊躇いながら手を取った。
リンドウの手は温かくて、冷えた私の手にぬくもりを与えてくれた。
蒸し暑かった外に別れを告げて、薄暗いスターレスの中に入る。外は眩しかったけど、ここは薄暗くて落ち着く。
病室とは真逆の空間だからかな。ここにいる間は私は自由になったんだと思える。
リンドウと別れ事務室に入って、汗をかいた箇所を汗拭きシートで拭いているとカスミさんが入ってきた。ちょうど扉に背を向け、服をめくって背中を拭いていた時だった。
「わわわ、すみませんっス！ まさか翡翠さんがもう来てるとは思ってなくて！」
カスミさんは入りかけていた体をすぐに引っ込めて、扉を勢いよく閉めた。別に着替えをしていたわけじゃないから、気にしなくて大丈夫なのに……
「こちらこそすみません。他の方が居ることを忘れてました……。あの、もう入ってきて大丈夫ですよ」
「ほんと、すみません」
ガチャと音を立てながら、カスミさんがもう一度入り直す。これからは、トイレの個室とかに入ってやろうと心の中で決める。
「それより、運営くんから翡翠さんにお仕事を任されているものがあるんス。自分が教えるんで、分からないところは聞いてください」
「分かりました。カスミさんが見てくれるんですね」
「運営くんの仕事をよく手伝ってるんで、運営くん直々に指導をするようにお願いされたんスよ〜」
「運営さん夏フェスの付き添いで、何かとお忙しいですからね」
「あはは〜そうっスね」
PCの電源をつけて、汗でベタつく髪の毛をお団子に結び直してから椅子に座る。カスミさんから渡された書類に、説明を聞きながら書き込んでいく。
「翡翠さん、長袖暑くないんスか？」
「え？ ああ、このブラウスすごく薄いのでそんなに暑くないですよ。あんまり肌を晒すのが好きじゃないから長袖を着てきたんですけど、暑苦しかったらすみません」
右腕を伸ばして左手で袖を摘みながら答えた。
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月詠乃朱(プロフ) - 朝桐さん» いつもありがとうございます。朝桐さんもお気をつけて！ (2022年12月24日 11時) (
レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 続編楽しみにしてます！年末年始、今年は特に寒いのでお体にお気をつけて！ (2022年12月23日 22時) (レス) @page50 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠乃朱(プロフ) - 朝桐さん» 秋山さんのストーリーも楽しんで貰えて何よりです。次回の更新、楽しみにしていてくださると嬉しいです( *´꒳`*) (2022年10月19日 23時) (レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - あ、秋山さーん？！？！？！ (2022年10月19日 23時) (レス) @page45 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠乃朱(プロフ) - アルジュマさん» コメントありがとうございます。そう言ってくださると嬉しいです(*^^*)キャストネームの方もありがとうございます。意味とかも調べながら検討したいと思います！ (2022年8月21日 22時) (レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月詠乃朱 | 作成日時：2021年7月31日 14時
