31話 ページ32
晴れた日の朝、今日からスターレスで働くことになっている私は、リンドウと共に裏口から建物の中に入っていった。
相変わらずバクステの中はホールとは違い荒れているように感じた。蒸し暑くなってきたこの季節だが、私は長袖を手放せないでいる。
事務室に入ると、茶髪に黒縁眼鏡をかけた男の子がパソコンを操作して何かを打ち込んでいる。私たちが入ってきたことに気付くと、途端に顔を上げた。
「リンドウさん、おはようございます！ そちらの方は、社長が言っていた新しい事務の方ですか？」
「おはよう運営くん。そうなんだけど、もしかして今手が離せない？」
「うー、すぐに終わらせるのでもう少し待っていてもらえますか？」
「もちろん。姉さん、待っている間バクステの中を一通り案内しておくよ」
「分かった、ありがとう」
運営くんと呼ばれた彼は、話し終えるとまたパソコンに何かを打ち込んでいく。いろいろとオーナーから無茶ぶりを言われたり、仕事を増やされたりしているらしい。
キャストたちも時々手伝っているらしいが、事務室に箱詰めにされることがあるらしく不憫でならない。
私が入ることで少しは楽になるといいんだけど。そんなことを思いながら、リンドウに教えてもらったバクステの構造を頭にインプットしていく。
廊下の壁の、何かを隠すように張られた厚紙とかは見なかったことにしよう。この建物、費用を削減するためにバクステは手抜きで作らせたらしい。
地震が来たときは真っ先に崩れそうだ。見た目のぼろさの割に、倉庫は綺麗に片づけられているようで手入れが行き届いているのを感じる。
ショーを見に来た時、事務室へ静かに入ってきたカスミさんや銀星さんが率先して倉庫の整理をしているらしい。
リンドウからキャストと、公演については説明を受けているからある程度スターレスのことは分かっているつもりだ。
力仕事とかはその辺にいるキャストにお願いしてもいい、とケイさんに言われたから心配はしていないけど、不安はある。
今はこの体の持ち主ではあるけど、私自身が何の教養も無い未成年だからだ。学校というものに行ったことがないうえ、機械にはめっぽう弱い。
基本的な使い方とかは教われば分かると思うけど、その分も運営くんの仕事が増える。最初のうちはどこもそうだろうけど、あんまり迷惑はかけたくないのが本音だ。
せっかく仕事をもらえるのだから、やるだけやっては見るけども。今の私にはへまをする未来しか見えないのだ。
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月詠乃朱(プロフ) - 朝桐さん» いつもありがとうございます。朝桐さんもお気をつけて！ (2022年12月24日 11時) (
レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 続編楽しみにしてます！年末年始、今年は特に寒いのでお体にお気をつけて！ (2022年12月23日 22時) (レス) @page50 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠乃朱(プロフ) - 朝桐さん» 秋山さんのストーリーも楽しんで貰えて何よりです。次回の更新、楽しみにしていてくださると嬉しいです( *´꒳`*) (2022年10月19日 23時) (レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - あ、秋山さーん？！？！？！ (2022年10月19日 23時) (レス) @page45 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠乃朱(プロフ) - アルジュマさん» コメントありがとうございます。そう言ってくださると嬉しいです(*^^*)キャストネームの方もありがとうございます。意味とかも調べながら検討したいと思います！ (2022年8月21日 22時) (レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月詠乃朱 | 作成日時：2021年7月31日 14時
