30話 ページ30
ヒースは手紙に目を通した後、封筒の中から小さな紙きれを取り出した。秋山が入れたという、彼女の墓の場所を記したメモだろう。
スターレスからもそう遠くはないことを確認し、急ぎ足で事務室から出て行った。その場に取り残された運営は、何事も無かったように次の仕事へと取り掛かった。
ヒースはスターレスから出ると、墓の場所へと足を運んだ。正直に言って、彼女のお墓がちゃんとあることに驚きが隠せなかった。
彼女は孤児だったからだ。小さい頃から入院していて、いつの間にか親と連絡が取れなくなったという。
しかし、病状があまり良くなかった彼女は退院することもできず、医師の世話になる選択しか残されていなかったのだ。
本人は申し訳ない気持ちでいっぱいだったらしいが、病院側は患者を放っておくことはできないと言って彼女を病室に縛り付けた。
病室の中でしか生きられない自分に嫌気がさし、何度も抜け出しているうちにヒースと出会うことになった。あまりに寂しそうな顔をしている彼女を一人にさせたくなかった。
ヒースはそう言った同情心から彼女の病室へと足を運んでいたのだ。だがそれも、ヒースがスターレスでショーをするようになってからなくなった。
軽い喧嘩が原因だった。彼女の病室へ足を運ぶ回数が減ったことで、怒らせてしまった。結局、彼女と仲直りすることもなく、秋山ましろは永い眠りについた。
「今更、後悔しても遅いよね」
ヒースは、彼女の墓の前までたどり着くと小さくそう呟いた。記憶の中の彼女はいろいろな顔をしている。
喜んで、笑って、退屈そうに見つめてきて、呆れた顔をして、怒って......。表情はもともと豊かな方だった気がする。
それでも、一度も泣いているところだけは見たことがなかった。弱音を吐かない強い子ではなく、弱音の吐けない弱い子だとヒースは感じていた。
そんな子を独りぼっちで死なせてしまったことが、何よりも悔しかった。ヒースはしばらく墓の前で彼女の死を悼んでいた。
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月詠乃朱(プロフ) - 朝桐さん» いつもありがとうございます。朝桐さんもお気をつけて！ (2022年12月24日 11時) (
レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 続編楽しみにしてます！年末年始、今年は特に寒いのでお体にお気をつけて！ (2022年12月23日 22時) (レス) @page50 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠乃朱(プロフ) - 朝桐さん» 秋山さんのストーリーも楽しんで貰えて何よりです。次回の更新、楽しみにしていてくださると嬉しいです( *´꒳`*) (2022年10月19日 23時) (レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - あ、秋山さーん？！？！？！ (2022年10月19日 23時) (レス) @page45 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠乃朱(プロフ) - アルジュマさん» コメントありがとうございます。そう言ってくださると嬉しいです(*^^*)キャストネームの方もありがとうございます。意味とかも調べながら検討したいと思います！ (2022年8月21日 22時) (レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月詠乃朱 | 作成日時：2021年7月31日 14時
