27話 ページ27
建物の中に入ると、外観との違いに思わず声がもれた。建物自体は古いと感じるものの、だからこそ作り出せる雰囲気に目を引かれる。
一度見てみたいと思っていた、アンティーク調の内装に顔が緩んでいく。全体的にこげ茶色で統一されているため暗い印象を受けるも、シャンデリアによって明るさは保たれていた。
「ここ、外観は古いですけど、内装は家具を修繕して使うアンティークなんですよ」
「こんなに素敵な雰囲気のお店初めて来ました」
秋山さんの後について行きテーブル席に腰掛け、テーブルについた傷をそっとなでる。私たちに気づいた店員さんが水を運んできた。
中はがらりとしており、物音が少ないため心が休まる場所だ。メニュー表を見てみると、品数はあまり多くはなく、軽食程度のものばかりだった。
サンドイッチとアイスコーヒーを頼み、弟からの返信に目を通してから秋山さんに向き直る。
「美輝さん、退院してからしばらく経ちましたけどお仕事されるんですか？」
「もちろん、しますよ。弟ばかりに働かせるのは、生活的にも厳しいでしょうし」
「そうですよね。働くのはいいですけど、無理して倒れたりしないでくださいね」
「分かっています。幸いにも、弟と同じ店に事務員として働かせていただくことになったので無理をしようにも、できないとは思いますけど」
そう言って笑いかけると、秋山さんは安心したように小さく笑った。その一つ一つの動作が、記憶の姿と重なった。
もともと美人だなと思っていたが、笑うと余計に顔の良さが際立っているように感じるのは気のせいではないはずだ。
やっぱり女性は笑顔がよく似合う。そう思いながら秋山さんを見ると、顔を曇らせて俯がちに口を開いた。
「実は私、前に美輝さんに嘘をついたことがあって」
いきなりの言葉に少し身を強張らせ、何のことかと考えを巡らせる。
「えーっと、先月お散歩中に気になる人がいたって話をしたの覚えてますか？」
「はい、覚えています」
「その、今更訂正するのも変かなって思うんですけど、実はその方と一年間だけ付き合って別れたんですよ」
「ん？確かその人、弟と秋山さんの友人も同じ職場で働いているって言ってた人ですよね？」
「そうです」
思いのほか、世間は狭いのかもしれない。今日、偶然見つけた「私」のお墓のこともあり情報量が多く脳のキャパを超えそうだ。
急な話に少し反応に困ってはいるものの、恐らく真剣な話だろうと思い次の言葉に耳を傾けた。
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月詠乃朱(プロフ) - 朝桐さん» いつもありがとうございます。朝桐さんもお気をつけて！ (2022年12月24日 11時) (
レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 続編楽しみにしてます！年末年始、今年は特に寒いのでお体にお気をつけて！ (2022年12月23日 22時) (レス) @page50 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠乃朱(プロフ) - 朝桐さん» 秋山さんのストーリーも楽しんで貰えて何よりです。次回の更新、楽しみにしていてくださると嬉しいです( *´꒳`*) (2022年10月19日 23時) (レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - あ、秋山さーん？！？！？！ (2022年10月19日 23時) (レス) @page45 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠乃朱(プロフ) - アルジュマさん» コメントありがとうございます。そう言ってくださると嬉しいです(*^^*)キャストネームの方もありがとうございます。意味とかも調べながら検討したいと思います！ (2022年8月21日 22時) (レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月詠乃朱 | 作成日時：2021年7月31日 14時
