21話 ページ21
場面ごとに切り替わるスポットライト。キャストの指先までもを意識したような、繊細な演技。高音で感情を込めたような歌声。
この大きくもなく小さくもない舞台で踊って、歌って、演技をする。その一つ一つに、舞台を作り上げた人々や舞台そのものに時間を感じられた。
「ああ、時が流れるとはこう言うものなんだな」と、舞台を見た後の感想とは少しズレた事を考える。正直に言うと、私から見た舞台は完璧だった。
ただそれは、初めて見た演技や歌や踊りを見たからと言うだけに過ぎず、他の公演と比べることが出来ない。だから、それ以上の感想を持つことができないだけ。
慣れてくれば、もっと別の視点からの感想を持てるのだろうか。でも、彼ー確か名前は吉野さんだったはずーの歌は凄く好きだなと思う。
感情的で、でも何処か悲痛を押し殺そうとする感じが心の奥にまで触れてこようとする感覚。なにか、この公演に思い入れがあるのかな…
公演が終わりしばらく経つと、リンドウからバクステに案内される。そこはさっきまでのホールとは違って、素朴な路地裏を連想させられる場所だった。
まさに表と裏。あくまで、客には煌びやかな表だけを見せるだけで十分だとでも言うような作りに、思わず顔が引きつった。
「あぁ！？事務を増やすだァ？」
事務室らしき場所に案内され、リンドウが扉を開けようとした時、声が聞こえた。先程まで静かな通路を通ってきたので、思わず肩が跳ねる。
リンドウはそのまま、気にせず私たちを中に通し後ろで静かに扉を閉めた。中には先程まで公演を行っていたキャストたちと、怒鳴り声の主らしき人が佇んでいた。
「ケイ様よう、いくら何でもキャスト以外の雇用はお断りだぜ。運営1人でも店は回ってるだろ。これ以上増やしてどうする」
「どうするも何も、事務の仕事をしてもらうつもりだが。今後も、運営1人に仕事を任せるのは少々不安なのでな
それに、彼女が店に通い続ける上で、女性の1人くらいは話し相手にせよ必要になるだろう。男ばかりの空間では彼女も鬱憤が溜まるだけだ
君も丁度仕事を探しているのだろう？」
「え、あ、私ですか？確かにそうですけど……」
何やら揉めている様子の2人から視線を向けられ、しどろもどろになる。誰か新しく雇用する話なのは分かっていたが、まさか私の事とは思わなかった。
「ん？見ねえ顔だな。嬢ちゃん以外の客をバクステに通すなんて話は聞いてねぇぞ？」
「すみませんオーナー、彼女は僕の姉です」
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月詠乃朱(プロフ) - 朝桐さん» いつもありがとうございます。朝桐さんもお気をつけて！ (2022年12月24日 11時) (
レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 続編楽しみにしてます！年末年始、今年は特に寒いのでお体にお気をつけて！ (2022年12月23日 22時) (レス) @page50 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠乃朱(プロフ) - 朝桐さん» 秋山さんのストーリーも楽しんで貰えて何よりです。次回の更新、楽しみにしていてくださると嬉しいです( *´꒳`*) (2022年10月19日 23時) (レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - あ、秋山さーん？！？！？！ (2022年10月19日 23時) (レス) @page45 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠乃朱(プロフ) - アルジュマさん» コメントありがとうございます。そう言ってくださると嬉しいです(*^^*)キャストネームの方もありがとうございます。意味とかも調べながら検討したいと思います！ (2022年8月21日 22時) (レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月詠乃朱 | 作成日時：2021年7月31日 14時
