12話 ページ12
「美輝さん、おはようございます。調子はどうですか？」
「おはようございます。今日はいつもより身体が軽い気がします」
目が覚めて、弟が持ってきてくれた神話に関する本を読んでいると、いつの間にか8時を過ぎていた。
病室に様子を見に来た秋山さんの手には朝食を乗せたお盆。いつものように調子を確認してくれるから、不調になれば直ぐに気付いてくれる。
調子がいいことを確認すると温かい笑顔を向けてきてくれた。味気の無い食事だけど、早く元気になるためにも残さず食べ切る。
お茶を飲みながら今日はどうやって過ごすかを考えていると秋山さんが口を開いた。
「そう言えば昨日、弟さんの元気があまりないように見えたんですけど大丈夫でしたか？」
「え？」
大丈夫とはなんの事だろうか。別に昨日は喧嘩をした訳でも無いし、リハビリが始まることを伝えただけだ。
では、私の事ではなく弟の様子を聞いているのだろうか。
「昨日は特別何があったとかでは無いです。何か不安なことがあったのかな…」
「どうでしょうね。てっきり二人に何かあったのかと心配しちゃいました。私の気の所為かもしれないので、あまり気にしないでください」
そう言って謝る秋山さんは、本当に心配してくれているのだと思った。大して関わりのない弟にまで気を使ってくれる、なんて優しい人なんだろう。
人をよく見なければならない看護師という仕事をしている彼女が、弟の様子を気にかけてくれているのに私は何で気づかなかったのだろうか…
「一応、次に弟が来た時に様子見てみますね。教えてくれてありがとうございます」
「いえ、あまりお役に立てないかも知れませんが、何かあればお話だけでも聞きますから」
秋山さんの優しさに感謝しつつ、昨日の弟の様子を思い出す。特にこれといった変化があったようには思えず首を傾げる。
あるとすれば、涙ぐんだ声で返事をし、笑顔を向けてきたあの時だけだ。もし、私の体調を心配してくれているならそれは杞憂だ。
だって、私は「お姉さん」の魂を代償に回復が約束されている。こんな話、口が裂けても言えないが……
もし、私が関わる事でなかったのなら私には何もしてあげられない気がした。だって、あの子がそれを望まないから。
望む気がしないのだ。誰かの力を借りることを。全て自分でやってのけ、最終的には周りを信頼できなくなってしまう。
この身体に入る前、そういう人が私の近くにいた気がした。それが誰だったのかは思い出せない。
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月詠乃朱(プロフ) - 朝桐さん» いつもありがとうございます。朝桐さんもお気をつけて！ (2022年12月24日 11時) (
レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 続編楽しみにしてます！年末年始、今年は特に寒いのでお体にお気をつけて！ (2022年12月23日 22時) (レス) @page50 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠乃朱(プロフ) - 朝桐さん» 秋山さんのストーリーも楽しんで貰えて何よりです。次回の更新、楽しみにしていてくださると嬉しいです( *´꒳`*) (2022年10月19日 23時) (レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - あ、秋山さーん？！？！？！ (2022年10月19日 23時) (レス) @page45 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠乃朱(プロフ) - アルジュマさん» コメントありがとうございます。そう言ってくださると嬉しいです(*^^*)キャストネームの方もありがとうございます。意味とかも調べながら検討したいと思います！ (2022年8月21日 22時) (レス) id: 3679865769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月詠乃朱 | 作成日時：2021年7月31日 14時
