50色目 ページ1
「済まない…」
「あの人言霊使って骨喰に主を襲わせたんだよ」
「なんだとっ!?手当は…しているようだな」
「取り合えず止血してるだけだから、早く薬研に」
「それが今…」
「なんで出てきているのっ!?それに長谷部、あなたがなんでここにいるのっ!?」
闇夜に不快な金切り声が後ろから木霊する
どうやら、扉が破壊されたことにより錠にかけてあった霊力が解け、すっ飛んできたようだ…想定内ではある
「(五月蠅い…)」
「(これはこれは、耳障りだねぇ…)」
「そういうことだよ、察しな」
ランタンがあるとはいえ、夜目が効かず椿の顔は見え辛いが、冷えた眼差しを送ってやる
向こうは見えているだろから
「…っ!?」
「大丈夫か!?」
「!!主、良かった!無事だったんだね!」
「あぁ、良かった」
椿の後ろから、追いかけてきたのだろう太刀組が走ってきていた
「!!貴方たち、心配して来てくれた…」
「!!怪我をしているじゃないかっ!!こんな驚きは要らないぜっ…」
「でも、気を失っているだけのようだね…よかった…」
「主たちのことは任せておいてって言ったけど、これは加州たちに怒られるね…」
自分を心配して追いかけてきてくれたのかというように振り返る椿の横を、三人とも通過してAの側に駆け寄ると、無事な姿を確認して心底よかったというような顔をしていた
「なっ…!?貴方たちっ…なんでっ…」
「いい加減物分かりが悪いね」
「ーっ!!どいつもこいつも、言うこと聞いてなさいよっ!!貴方たちは私のためにいるんでしょっ!!コイツね!こいつが私の物を惑わしてるのねっ!!…骨喰!!今度は成功させないさい!こいつを斬れ……いないっ!?」
骨喰に再度言霊をかけようとするが、先ほどまでAの近くにいたはずの骨喰の姿が見当たらない
よく見ると、遠いところに移動していた
太刀たちに気を取られている隙に移動したようだ…この距離では言霊の効力が発揮されずかけられない
「(あいつ、分かって遠くにっ…)チッ!じゃあ、長谷部!!主命よ!こいつを斬れっ!!」
「俺の主は貴様じゃない…だから貴様の命令には従わないっ」
「つべこべ言ってないでそいつ斬れ!」
主命と言えば行動するかと思っていたのだろうが、まさかの主命でも動かないため、最終手段で言霊でAを斬らせようとする
「っ!お前、達っ!主を連れて…逃げ、ろ!!」
「僕が受け止めてあげるよ…あぁ、君の刃のことだよ?」
87人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:べっこうあめ | 作成日時:2021年11月14日 14時