久遠のカラフルイヤーズ (ページ38)

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37色目ページ38

『これが次郎ちゃんが言ってた蔵か…結構大きいね』

中を開けて確認してみようと思ったが、入り口の扉にとても立派な黒い錠がしてありこのままでは開かないことが分かる

『御大層な錠がしてあるね』

何をそんなに隠すものがあるのかと嫌そうな顔になる

「アタシがぶった切って開けてやろうか？」

「そんなに中が見たいなら入れてあげるわよ」

それはどっちを?と思った瞬間後ろから声がした…先程別れたばかりの椿の声が

『!!椿さんっ…』

後ろを振り返るとそこには想像する本人がいた
小竜の姿はなく、一人で来たようだ

「行動が怪しいから見張っていたら案の定…私の刀剣を誑かして引っ掻き回そうとして…乗っ取りが目的?言っとくけど、あなたみたいに何の魅力もない人に付いて行かないわよ」

霊力を使い錠をガチャン!と開けると扉が開く
どうやら霊力で封印していたようで、それならAが触れれば一発で開いていたことだろう

「骨喰、その子を切れ」

「何をっ…!逃げ、ろ!!」

言うが、短刀より遅いが脇差の機動だ…少し前まで唯の一般人だったAも、脇差より遥かに遅い起動の大太刀の次郎でも避けられないし庇えない

言霊で操られた骨喰が抜刀してAに切りかかる

「アンタ!なんてことさせてんだい!!」

咄嗟に、本当に咄嗟に…いや、本能で少し躱したAは体をバッサリというのは免れたが、腕に当たりザックリ斬られる

『う゛っ…』

「次郎、そこ開けて全員そこに入れ」

そう言われて抗えない次郎が蔵の扉を開けて骨喰と共に入る
椿は座り込むAの髪を掴み引きずると中に投げ入れ扉を閉めるとまた霊力で錠をする

刀剣とAごとここに閉じ込め封印するつもりらしい

「ある…じ、主…済まない…俺が…主を…」

光が届かない蔵の中では、次郎は夜目が効かず、声がする方へ寄っていくしかなかった
夜目の効く骨喰は、未だ床に転がったままのAに近寄り抱き起こす

『骨喰君の所為じゃないよ…全部、あの人が悪いの…責めないでね、泣かないで』

そっと、涙を流す骨喰の涙をぬぐってやる…あなたは悪くないんだと思いを込めて

「主、大丈夫かい…腕とはいえ…あー!アタシが夜目効いたら手当できるのにっ!!」

「守ると誓ったのに…主は…俺たちは頼りになると言ってくれていたのに…なのに、俺は…アイツの気配を…察知できなかった…」

『きっと、小賢しく霊力で気配消してたんだよ…それに、今…傍にいてくれて心強いよ』