14色目 ページ15
光忠が退室してから、こんのすけにまとめておいた着がえや洗面用具等をを出してもらいお風呂に入ろうかと思ったが
『皆何時入っているんだろう…私が入ってて誰か入ってきたら申し訳なさすぎる…皆のお目汚しになるよ…』
さっき光忠君に聞けばよかった!と先ほど気づいていなかった事実に若干後悔する
これは椿に聞きに行くべきか、清光に聞くべきか…どうだろうと、うんうん悩む
そうこうしていると、部屋の前に誰かやってくる
「見習いさん、今いいかな」
『!はい、どうぞ』
静かに障子を開けて入ってきたのは菫色の髪でその前髪を人房後ろに流して赤いリボンで止めている
雅な文系刀剣…歌仙兼定だった
「失礼するよ…お風呂の準備が整っているから呼びに来たんだ」
『ありがとう、今丁度聞きに行こうかどうか迷ってて』
「君のことは加州たちから聞いてるよ…向こうではありがとう、僕からも礼を言わせてくれ」
『あぁ、そんな…大した事してないから』
ありがとうと頭を下げる歌仙にアワアワしながら気にしなくていいんだと手を左右に振る
「僕は割かし古参の方でね…早めにここに来たんだ…でも、僕は料理ができるから…出陣はさせてもらえなくて、練度も上がっていない…でも僕より後から来た短刀たちの練度は上がる一方、傷も増えていく…苦しんでいる…」
とてももどかしく、けれどどうすることもできないこの状況で色々苦しかった…僕じゃあお小夜たちを救うこともできないしね
と、苦しい心の内を話してくれる
『た、確かに…歌仙君は…本来の自分の役割を果たせていないかもしれない…でも、それは自分ではどうにもできないことで、そんなに思い詰めることないよ』
光忠君と一緒にお料理作ってるんだよね?それは刀の役目じゃないかもしれない、でも生きることには必要なことだよ…ご飯食べないと動けない、力が出ない、死んじゃうからね
そっと歌仙の手を取って両手で上下から挟み込むように包む
『ここの刀剣の皆はご飯、食べれていないけど…でも、今後それが必要になる』
歌仙君がいたら心強いね
不甲斐ないと思う自分をそんなことないと否定して、自分の状況を卑下することないよと笑ってくれる
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作者名:べっこうあめ | 作成日時:2021年9月16日 18時