†イナズマイレブン† 私が、トリップして得たものは──。 (ページ3)

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†第1話ページ3

──ﾋｭｩｰｰ

生暖かく優しい風が、
私の頬を撫でる…。

「……」

ここは学校の屋上。
本来なら立ち入り禁止されている場所だ。

だが私はそんなことはお構いなしに、いつもここへ来ている。
理由は単純。

学生である以上、学校へは行かなければいけない。

この学校に居場所がない私は、立ち入り禁止であり、
尚且つ教師も滅多に来ることがない、この屋上に入り浸っているというわけだ。

学年順位を常に1位に保っているおかげか、
授業をさぼって屋上にいても、教師から文句を言われたことはない。

「(私にとって、教室は息苦しいからな)
…！」

ﾋｭｩｩｰｰ!

「……」

これは…
ひと雨降るな。

「…(帰るか…)」

*

「ｯ…」

1週間程前にできた傷が痛む。
前にできた傷が治ったと思った途端にこれだからな…

質(たち)が悪いことこの上ない。

まだ傷は痛むけど、家に帰ったら久しぶりにサッカーでもやるか。

私はそんなことを考えながら、耳にイヤホンをして歩いていた。
──だから、だろうか…

信号無視の車に、気付くことができなかったのは…

ﾄﾞﾝｯ──

そんな鈍い音とともに、強い衝撃が体に伝わった。
目の前が、真っ赤に染まる──

「(そう、か…。私は…死ぬ、のか。)」

車に轢かれたというのに、私はどこか冷静だった。
この世界に、未練というものが無いからかもしれない。

居場所のないこの世界に生きていても、私が苦しいだけ…。

そんなことを考えていたら…
薄れていく意識の中で、誰かの声が聞こえた。

『──君は"こちらの世界"で、失ったものを取り戻すんだ』

こちらの、世界…？

『彼らなら、きっと君を──』

*

その言葉の続きを聞くことはできなかった。
何故なら、私の意識は完全に暗闇の中に沈んでいってしまったから。