生き地獄だ。(降谷side) ページ30
降谷side
「すぐ戻ってきますから。ね?」
そう言ってAは俺から離れていった。
まずい。
熱で侵されているせいか自分の気持ちをコントロールできていない。
風邪が移るから帰れと言ったくせに、今Aがここにいることが嬉しい。
体温計くらい自由取ってくればいい。
そうおもっているのに出た言葉と行動は、
“俺から離れないでほしい”
と、言わんばかりのもの。
このままだと、Aに手を出しかねない…
「降谷さん、ちょっと体起こせますか?熱測るのと一緒に少し胃にものを入れましょう?」
「………あぁ。」
Aが俺が体を起こすのを手伝ってくれる。
なんというか、自分が凄く情けなく感じる。
だけど、こんな状況に少しラッキーだなんて思っている自分がいるのは否定できない。
「卵がゆ食べれます?」
「……Aが作ったのか?」
「え?そうですけど……あ、味はちゃんと大丈夫ですからねっ?味見もしましたし!!まぁ、降谷さんが作るものよりは美味しくないかも知れないけど…」
別にそういう意味で聞いたわけじゃなかったんだけど。
普段面倒くさがって料理をしない彼女が俺のために作ってくれたのかと思うと自然と頬が綻ぶ。
俺がそうやって浮かれている間にAはお粥をれんげですくって、冷ましていた。
まさかとは思うが……
「フーフーっ……よし。はいどうぞ降谷さん。」
「…………。」
Aは俺の思った通りの行動に出た。
29の大の男が“あーん”をしてもらうのは流石に恥ずかしいんだけどな…
「あれ、やっぱり食欲ないですか?」
「いや、そういう訳じゃなくて……」
俺の返答に首を傾げるA。
ほんと何もわかってないなこいつ。
「………自分で食べられる。」
「え?……あぁ、そういうことですか。」
Aはやっと納得した顔をする。
だけど……
「……いつまでレンゲを持ってるんだ」
「降谷さんが食べるまで?病人は無理しちゃダメです。恥ずかしいとかナシですよ。私だってこの前降谷さんにこうされて相当恥ずかしかったんですからね!!!」
これはもういくら俺が言っても聞かないな…
前にAが熱を出した時に調子に乗って、“あーん”なんてしなければよかった。
この後結局、俺は全部Aに食べさせてもらい、何から何まで看病してもらった。
生き地獄とはこういうものだ。
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青龍 葵(プロフ) - 脱字があります!「すぐ帰ります」で「…ちょっと○○そんに会って欲しい奴がいるんだ」の『○○そんに』とは何でしょうか? (2018年7月26日 17時) (レス) id: 970e92a440 (このIDを非表示/違反報告)
祐(プロフ) - 零さん» 返事おくれました!嬉しいコメントありがとうございます!頑張ります! (2017年5月7日 23時) (レス) id: fb8724423b (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - いつも楽しみに読んでます!!続編も頑張って下さい! (2017年4月30日 21時) (レス) id: f4f2fc359b (このIDを非表示/違反報告)
祐(プロフ) - 唯さん» ありがとうございます! (2017年4月30日 19時) (レス) id: a2b81a1195 (このIDを非表示/違反報告)
唯 - とっても面白いです!!更新頑張って下さい (2017年4月25日 3時) (レス) id: 0cdca89a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:祐 | 作成日時:2017年3月30日 23時