ミス.クラヴィーア ページ29
「Aちゃん、何にする？このコーヒーあんこティーとか美味しそうよ」
「えっと、キャラメルマキアートで」
二人席を陣取るとトレイに注文した飲み物とクリームチーズのケーキをのせて夏未さんがふわり笑いながら近づいて席に腰掛ける。
夏未さんの座る隣の席の大量の紙袋が音をたてた。
「服、いっぱい買ってくれてありがとう…。こんなに着るかな」
「あら、そんなこと言わずに着てちょうだいな。せっかく買ったんだから」
夏未さんってば自分が気に入ったもの躊躇いなくとっていくんだもんなー、と肩をすくめる。
それよりも夏未さんが買った服はどれも普段私があまり着ないようなものばかりで、どうするべきかと唸る。
いや、別に着るけども。肩だしやへそ出しとか、何か。…なんていうか。
「いつもAちゃんパステルカラーのふんわりした服が多いから、新鮮でしょ？」
「うん、そうかも」
ふふ、と楽しそうに笑う夏未さんに「……ご機嫌だね？」とマキアートをすすりながら問う。
「ええ、こうして一緒に出かけるのも久しぶりだし」
飲み物(コーヒーあんこティー)に口付けながら終始笑顔だ。
「守さんも一緒に来れれば良かったね」
今日はお義父さん……(と、守さんが言っていた)という人と会うらしい。何でも、呼ばれたんだとか。
私はそのお義父さんと会ったことは無いが、夏未さんがちょくちょく話をしているらしく、たまに手紙が届く。
律儀に拝啓、Aちゃんと書かれた封筒は大抵、ダンボールの箱に入っており有名なお菓子やハンドクリームなど毎回とても可愛いものと一緒に送られてくるのだった。
2週間前にもチョコレートかけしたきんつばが送られてきた。美味しかった。
「あら別にいいわよ。母娘水入らずって言うじゃない」
平然と言ってのけた夏未さんに、何か守さんが落ち込む姿が容易に想像できたがスルーしておく。
「そういえばAちゃん、このあとは誰かお友達と会うのよね」
「あ、うん。病院に」
「そうだったわ。あ、冬花さんにお土産渡しておいてくれる？」
チョコレートの箱包みを手渡しながら「どうせなら今日買った服でも来ていけばいいわよ」と笑う。
「え。や……別に？」
別に照れることないでしょーと夏未さんは愉快そうに言って「あ、そろそろ行かないと」とバッグをまとめ始める。
鍵持ってるわね？と念を押す夏未さんに思わず笑う。小さな子じゃないよ、と。
ラッキーアイテム
革ベルト
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キャンプ - 思い出しては読み返す大切な作品です。私事ですが拙作ばかりですが文字書きとして活動しています。想像を文字に起こすことは楽しいです。私も、定期的に読みに来てしまうような誰かの心に残る作品を書けたらと、初心を思い返すような気持ちでここに戻ってきます。 (2022年10月18日 0時) (
レス) id: 0d3ae99a04 (このIDを非表示/違反報告)
鯖 - 小学生のころkurehaさんの小説に出会って、10年以上何度も読み返しています。作品を残しておいてくださって、ありがとうございます。完結していなくても、私の中ではまだこのアリスの世界が続いている気がします。大好きです (2021年3月14日 17時) (レス) id: 5fb21310e9 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - キャップさん» 私も大学生になりました。もう占いツクールに没頭するような歳ではなく大人になりましたがシエラザートとアリスは今でも大好きな作品です。 (2020年9月17日 14時) (レス) id: 2790829628 (このIDを非表示/違反報告)
キャップ - 菊華さん» 大学生になりました。ふとしたときに思い出して読み返す作品です。ずっと好きです。一年前、残したメッセージがそのままで笑ってしまいました。勝手にお世話になってます。ありがとうございます (2020年7月30日 1時) (レス) id: 0d3ae99a04 (このIDを非表示/違反報告)
キャップ - 今もずっと大好きな作品です。気がつけば五年経っていますが、何度も、楽しく読ませてもらっています。ありがとうございます。 (2019年8月17日 17時) (レス) id: 1d4f5f1e49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kureha | 作成日時：2012年7月1日 17時
