If he is not fearful, I understand. ページ21
「ごめんね剣城くん。待たせちゃって」
「いえ、先輩こそ誰かと約束とかありませんでしたか」
「いや無いよ。友達とは当番が重ならなくて、仕方ないから誰か拉致ってこようかと思ってた」
「…………そうなんですか」
先輩さえ良ければ一緒に文化祭まわれませんか、といういつもの如く簡潔なメールを貰った私は、以前人ごみが嫌いだと言っていた彼が文化祭に行こうなどと言い出すのは正直面喰ったが、何だかんだで一緒に回れるのは嬉しいことだとすぐさま了解メールを返信したわけだが。
珍しいじゃん、と言えば昨日うっかりお兄さんの前で明日文化祭があると喋ってしまい、お兄さんからお土産話楽しみにしてるね、と言われていまったそうだ。
文化祭だからといって特に何かするつもりではなかったものの、兄にそう言われて作り話を出来るほど器用でもなく、といったところか。
「じゃあお兄さんに楽しい話いっぱいしてあげられるといいんだけどね」
「はい。…まあ、あまり気にしなくていいと思います」
「え、気にしなくていいの？」
「兄さんのことなんで、多分俺にちゃんと行事を楽しんでほしいだけだと」
兄の言いたいことはわかってるんですけど、と少し苦笑いで言葉を濁す彼が珍しく、少し笑ってしまう。今日は何だかいつもと違う彼を見ているような、そんな感覚が。
「じゃあ早速だけどどっか行こうか。どこか行きたいところある？」
「いえ、何があるかよく知らなくて」
「んー……じゃあ、部活の皆のクラスでもまわって行こうか。何クラスか展示スペースのクラスもあるけど」
「そうですね。俺のクラスも展示だし」
「ここから近いのは、一年の教室か…。じゃ、天馬くんたちのクラスから行こうか」
そういえば私が来るまで何してたの、部室で寝てました、とある意味いつも通りの彼の行動の会話を交わしながら歩きだす。
待ち合わせ場所の人口密度が低い場所から遠のき、人が多くなっていくたびにだんだん向けられるあからさまな「え」みたいな視線を受けながらも＿＿＿剣城くんは全く動じず、私はときどきすれ違う友人に手を振りながら＿＿＿目的地へ進んでいくのだった。
やっぱり剣城くんは色んな意味で目立つなあと思いつつ。
私はよく知らないが、倉間くん曰く彼は粗ぶってる時期があったのだという。そのことがあり学校中から結構一目置かれた視線を向けられることも多いらしい。
私がいくら本人に聞いても教えてくれないが。
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革ベルト
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キャンプ - 思い出しては読み返す大切な作品です。私事ですが拙作ばかりですが文字書きとして活動しています。想像を文字に起こすことは楽しいです。私も、定期的に読みに来てしまうような誰かの心に残る作品を書けたらと、初心を思い返すような気持ちでここに戻ってきます。 (2022年10月18日 0時) (
レス) id: 0d3ae99a04 (このIDを非表示/違反報告)
鯖 - 小学生のころkurehaさんの小説に出会って、10年以上何度も読み返しています。作品を残しておいてくださって、ありがとうございます。完結していなくても、私の中ではまだこのアリスの世界が続いている気がします。大好きです (2021年3月14日 17時) (レス) id: 5fb21310e9 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - キャップさん» 私も大学生になりました。もう占いツクールに没頭するような歳ではなく大人になりましたがシエラザートとアリスは今でも大好きな作品です。 (2020年9月17日 14時) (レス) id: 2790829628 (このIDを非表示/違反報告)
キャップ - 菊華さん» 大学生になりました。ふとしたときに思い出して読み返す作品です。ずっと好きです。一年前、残したメッセージがそのままで笑ってしまいました。勝手にお世話になってます。ありがとうございます (2020年7月30日 1時) (レス) id: 0d3ae99a04 (このIDを非表示/違反報告)
キャップ - 今もずっと大好きな作品です。気がつけば五年経っていますが、何度も、楽しく読ませてもらっています。ありがとうございます。 (2019年8月17日 17時) (レス) id: 1d4f5f1e49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kureha | 作成日時：2012年7月1日 17時
