ちょっと可愛い、キミ ページ17
ディスプレイに表示された名前は貴志部大河だった。確認してから通話ボタンを押す。
「もしもし」
「あ、Aさん。俺なんだけど、」
「あ、うん。どしたの?」
「…映画、今から行かないか?」
「え、今から?」
「あ、えっと都合が合わなければいいんだけど!…今、雷門の近くにいて」
「あ、そうなの?いいよ。用事ないし」
「良かった。じゃあ、正門まで行くよ。部活もう終わってる?」
「え、別に迎えに来てくれなくていいよ?悪いし。すぐ行くから」
「あ、いや…えっと…ちょうど近くにいるし」
「大丈夫大丈夫。気使わないで」
「………ごめん、嘘です…道に迷って…」
「……」
「……」
「っく、!!ふふ…じゃ来てくれる?」
「…………うん」
方向音痴だと。ヤバい、吹きそう。
通話を切り、鞄を肩にかける。
「あの正門にいる子、どこ中?」
「誰かの彼氏?他校からお迎えとか相当じゃね」
聞こえてくる女子同士の会話に何となく気まずくなり、ちょっと歩くスピードを落とす。やっべ、気まず。これ普通に「待たせてごめんね」とか言って出てこれる空気じゃないわ。どうしよ。
しかし案を考えつく前にに彼は私を見つけたのだった。まろ眉を下げて、控えめに手を振る。彼なりに空気をよんだのだろう。が、当然視線は私の元に集まるのだった。
「……Aの彼氏!?!?」
こういう時に友好関係って悪い方向に働くよね!誰とでも仲良くするようにしてるせいでほとんど顔見知りばっかだよ!!しかもよりにもよって「彼氏じゃないって」と言っても「またまた〜」とか言う感じのタイプばっかりだよ!!
それでも私はとりあえず貴志部くんに手を振り返すことしか出来なかった。……ああ!もっと弁解が面倒くさくなったよ私!しかしもうどうしようもないので「わざわざごめんね」と言った。
「……それ嫌み?」
木戸川の制服は落ち着いた色合いの詰襟タイプだった。雷門の、肩に雷マークの入った学ランより渋めの色だが、貴志部くんによく似合っている。
「えっと、とりあえず…道教えて?」
「どうやってここまで来たの……」
「家に帰ろうとしてたらコッチに…」
「家!?家に帰ろうとしてココまで来ちゃったの!?」
そりゃあんまり距離ないけども。
にやにやとした視線を感じて、二人して身震いする。とりあえず私達はその場から逃げるようにして離れた。…ああどうやって弁解しようか。
ラッキーアイテム
革ベルト
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キャンプ - 思い出しては読み返す大切な作品です。私事ですが拙作ばかりですが文字書きとして活動しています。想像を文字に起こすことは楽しいです。私も、定期的に読みに来てしまうような誰かの心に残る作品を書けたらと、初心を思い返すような気持ちでここに戻ってきます。 (2022年10月18日 0時) (
レス) id: 0d3ae99a04 (このIDを非表示/違反報告)
鯖 - 小学生のころkurehaさんの小説に出会って、10年以上何度も読み返しています。作品を残しておいてくださって、ありがとうございます。完結していなくても、私の中ではまだこのアリスの世界が続いている気がします。大好きです (2021年3月14日 17時) (レス) id: 5fb21310e9 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - キャップさん» 私も大学生になりました。もう占いツクールに没頭するような歳ではなく大人になりましたがシエラザートとアリスは今でも大好きな作品です。 (2020年9月17日 14時) (レス) id: 2790829628 (このIDを非表示/違反報告)
キャップ - 菊華さん» 大学生になりました。ふとしたときに思い出して読み返す作品です。ずっと好きです。一年前、残したメッセージがそのままで笑ってしまいました。勝手にお世話になってます。ありがとうございます (2020年7月30日 1時) (レス) id: 0d3ae99a04 (このIDを非表示/違反報告)
キャップ - 今もずっと大好きな作品です。気がつけば五年経っていますが、何度も、楽しく読ませてもらっています。ありがとうございます。 (2019年8月17日 17時) (レス) id: 1d4f5f1e49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kureha | 作成日時：2012年7月1日 17時
