指先から奏でる ページ13
「あれ、何してんの?」
朝練も終わり教室に入れば、くいるように雑誌らしきものを見つめる女子のかたまり。
その殆どは顔に笑みをたたえていて、何だか良いことがあったみたいな表情をしている。
私に気づいた女子の何人かが「はよー」と機嫌良さそうに手を振ってくれたので、近づいてみると、私が来るなり友人たちは興奮したように喋りだした。
「ほら、あともう少しで雷門祭じゃん?今日配られた新聞部の冊子に各クラスの出店が書いてあってー」
「ああ…そういえば先週決めたねえ…」
彼女らのテンションの高さに若干うんざりしつつ(低血圧の頭には痛い声だ)、記憶を辿る。
確か妙にクラス中が白熱していた。雷門祭は他の行事とは桁違いの楽しさらしい。
「ウチは結局メイド喫茶を他のクラスに取られて普通のカフェになっちゃったけどさ」
そう、なんと意味深なことに学校全体でメイド喫茶と執事喫茶の数が制限されているというのだ。
メイドや執事は毎年売り上げが半端ないという理由で人気らしいのだが、それってメイドとか執事が嫌な人にとっちゃ苦痛以外の何ものでも無いわけで。
内心安堵の溜め息を吐きつつ、「2年のメイドと執事喫茶はどこになったの」と聞く。
すると女子たちが「それがね!!」と一斉に詰め寄ってきた。何コレ怖い。
「神童くんと霧野君のクラスが執事喫茶で!!」
「今年はツイてるよホント!!」
興奮した様子の彼女たちを見て、そういうことかと納得した。
あの二人は確かに美形だし。
「ちょっと親に一眼レフ借りてこなきゃ」
「アタシの携帯、画質悪すぎるんだけど。…機種変しよっかなー」
「あたしは先月スマホに変えたからok」
きゃっきゃと携帯を構えて騒ぐ友人らに、何だか体力が削られた気がして「あーじゃあ私席戻るわ…」と荷物を置きに向かうと、男子も男子で「C組がメイドだってよ!」とか言って騒いでるのが見えた。
ラッキーアイテム
革ベルト
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キャンプ - 思い出しては読み返す大切な作品です。私事ですが拙作ばかりですが文字書きとして活動しています。想像を文字に起こすことは楽しいです。私も、定期的に読みに来てしまうような誰かの心に残る作品を書けたらと、初心を思い返すような気持ちでここに戻ってきます。 (2022年10月18日 0時) (
レス) id: 0d3ae99a04 (このIDを非表示/違反報告)
鯖 - 小学生のころkurehaさんの小説に出会って、10年以上何度も読み返しています。作品を残しておいてくださって、ありがとうございます。完結していなくても、私の中ではまだこのアリスの世界が続いている気がします。大好きです (2021年3月14日 17時) (レス) id: 5fb21310e9 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - キャップさん» 私も大学生になりました。もう占いツクールに没頭するような歳ではなく大人になりましたがシエラザートとアリスは今でも大好きな作品です。 (2020年9月17日 14時) (レス) id: 2790829628 (このIDを非表示/違反報告)
キャップ - 菊華さん» 大学生になりました。ふとしたときに思い出して読み返す作品です。ずっと好きです。一年前、残したメッセージがそのままで笑ってしまいました。勝手にお世話になってます。ありがとうございます (2020年7月30日 1時) (レス) id: 0d3ae99a04 (このIDを非表示/違反報告)
キャップ - 今もずっと大好きな作品です。気がつけば五年経っていますが、何度も、楽しく読ませてもらっています。ありがとうございます。 (2019年8月17日 17時) (レス) id: 1d4f5f1e49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kureha | 作成日時：2012年7月1日 17時
