十四 ページ24
今日は一大イベントを決行しようと思う。優しいミツヒデさんにとある質問をしたらすんなりと答えてくれた。悪い笑顔をしているであろう私に何かを勘付いたのか、オロオロしていたミツヒデさんだったがもう遅い。ありがとうございます！と言いその場から走り去った。
そして丁度よくオビさんも見つける。ニヤニヤとしている私に気づいたのか逃げようとするが、先に走り出した私の方が彼に追いつくのが早く、彼の腕を掴んで今日の作戦を伝えた。
「オビさん！」
「随分と良い笑顔だねえ…なに？」
「私今日オビさんの部屋に夜這いしに行くので部屋の鍵開けておいてください！！」
「よばっ、はあ！？いやそれ前もって知らせることじゃないから！てか俺の部屋知らないでしょ」
「ミツヒデさんに聞いたら教えてくれました」
「…旦那ァ…」
バカなんじゃないの、と頭を抱えながら言われるが生憎もう私の稚拙な頭ではこれくらいの考えしか浮かばなかった。バカで結構と思いながら釘を刺す。
「絶対逃げないでくださいね！」
「…」
何も言わずににっこりとする彼にあ、こいつ逃げるなと勘付いたのはいうまでもない。
▽△
夜中、皆が寝静まった頃に私は部屋を抜け出した。メイドも衛兵もいない薄暗い廊下は少しだけ怖い。これで彼の部屋まで行って本当に逃げていたら、怖い思いをしたのにただの無駄足でしかない。でも正直、夜這いってそういうことだ、そんな勇気はないのでどちらにせよ出来なかったことに気づく。
つくづく後先考えられない頭にウンザリしたがこればっかりは仕方がない。着いた扉にノックをしたが案の定誰も出てこなかった。鍵も締まってた。
しょうがない、帰ろう。また策は考えればいい、今度はちゃんと行動可能で具体的な策を作らなければ。そう決意をして探検気分で行きとは違う道を通って部屋まで戻る。すると途中で厨房への扉を見つけた。いつもお菓子作りをする時にお世話になっている場所、夜のそこは薄暗くて不気味さが増していた。何か出て来そう。
私は吸い込まれるように厨房内に入り、台の上にある包丁を見つけた。鋭利に光るそれは月明かりに照らされてより一層怪しく光る。
そのとき脳裏に浮かんだのはあの絵本。いやいや、まさか。もしこれで私の仮説が間違っていたら私は恐らく死んでしまう、だけど。
何となく自信があった、私は後先考えずに己の左の腕に包丁をかざして……あ、ちょっと怖いかも。震える手を諌めてそのまま振り下ろした。
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紗夜(プロフ) - 何回も読んで、もう文章覚えてきたけど、大好き。 (2020年1月3日 1時) (
レス) id: 17bb863b6a (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - Hinanoさん» こちらこそコメントありがとうございます！！！キュンキュンして頂けたでしょうか！？そう言って頂けて嬉しい限りです...ぜひとも続編もよろしくお願いします！ (2019年7月30日 13時) (レス) id: d10d29f4b8 (このIDを非表示/違反報告)
Hinano(プロフ) - 本当に本当に本当に素敵なお話でした…吹き出しちゃうくらい面白くて、でもきゅんきゅんして…素敵な時間をどうもありがとうございました！ (2018年6月25日 7時) (レス) id: 853b5b9878 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - ちぎょさん» ちぎょさん、コメントありがとうございます！割と本気で泣きそうになりました！笑私も赤髪のキャラ皆好きで、個性を大切にしたいと思っていたので、そう言って頂けて本当に嬉しいです。こちらこそ、沢山のお言葉にとても励まされました！リクエスト、待っています！笑 (2018年4月29日 19時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぎょ(プロフ) - すみませんふざけましたが本当に。直接伝えたいなあ、こんなに素晴らしいお話を書いてくれてありがとうございました！！続編のリクエスト、ちょっとじっくり考えます笑。長々とすみませんでした。 (2018年4月29日 13時) (レス) id: 2a62607b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フルリ | 作成日時：2018年4月16日 9時
