十三 ページ19
それから暫く、白雪やガラクさん、はたまたメイドさんや衛兵さんからの話を基にして色んな策を試してみたがことごとく失敗していた。結果が全て失敗に終わったので内容は割愛させて頂く。
「押してダメなら…」
この作戦はあまりやりたくなかったのだが仕方ない。万策尽きた今、躊躇などしていられないのだ。
▽△
薬室に入り浸り、外に出歩く時も辺りを警戒しながら私が出せる自己最高スピードで走り回る。オビさんと会わないまま今日で一週間が経とうとしていた。
今までは少なからず何故か毎日少しでも会っていたのだが、廊下ですれ違わないようにしたり、外で走り回っているのを見られないようにしたり、更には起床時間と就寝時間までも調整した結果、全く彼と会わないことに成功した。
まあこうも会わないと私の方が限界を迎えそうになる。暫く声も聞いてないし顔も見ていない。部屋にいる時などひょい、と来てくれやしないかと期待するもそんな都合がいいことが起こる筈もなく、こんなに経ってしまった。自分から蒔いた種ではあるが、いざとなるとやっぱりやらなきゃよかったと思う。
…こんなの、私がもっと彼のことを好きだと自覚して、彼が私のことには興味を持っていないことを顕著にしてしまうだけだ。
やっぱりこんな駆け引き私には出来ない。今日仕事が終わったら会いに行こう、とまた薬草集めに奔走した。
▽△
白雪たちに「オビとA、喧嘩でもしたの？」と心配されているのを知りこれも策の一つだと答えたのがつい先程。でももう耐えきれないから今から会ってくると言うといい笑顔で送り出された。
さて、彼は何処にいるか。皆目見当もつかないが取り敢えず歩き出す。ここクラリネスは天気が悪い日が無いんじゃないかと思う程晴天が続いている。適度に冷たい風が心地いい。
ひとっ走りして王宮を一回りしてみるか、と足を踏み出すと見慣れた姿が木の上に寝そべっているのを見つけた。王宮内で木に登る人なんて彼くらいしかいないだろう。
「オビさん！」
「！…あれアンタ…」
彼は軽々と木の上から飛び降りてくると私の目の前に立ち、顎に手を当てて首を傾げた。
「…誰だっけ？」
「へ！？」
「いやー暫く会ってないから忘れちゃったなあ。おたくどちらさん？」
「ちょ、オビさん！ふざけないでくださいよ！」
忘れちゃったなあって！騙す気があるのかないのか分からない言葉に憤慨する。同時にいつもの調子に安心したのは言うまでもない。
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紗夜(プロフ) - 何回も読んで、もう文章覚えてきたけど、大好き。 (2020年1月3日 1時) (
レス) id: 17bb863b6a (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - Hinanoさん» こちらこそコメントありがとうございます！！！キュンキュンして頂けたでしょうか！？そう言って頂けて嬉しい限りです...ぜひとも続編もよろしくお願いします！ (2019年7月30日 13時) (レス) id: d10d29f4b8 (このIDを非表示/違反報告)
Hinano(プロフ) - 本当に本当に本当に素敵なお話でした…吹き出しちゃうくらい面白くて、でもきゅんきゅんして…素敵な時間をどうもありがとうございました！ (2018年6月25日 7時) (レス) id: 853b5b9878 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - ちぎょさん» ちぎょさん、コメントありがとうございます！割と本気で泣きそうになりました！笑私も赤髪のキャラ皆好きで、個性を大切にしたいと思っていたので、そう言って頂けて本当に嬉しいです。こちらこそ、沢山のお言葉にとても励まされました！リクエスト、待っています！笑 (2018年4月29日 19時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぎょ(プロフ) - すみませんふざけましたが本当に。直接伝えたいなあ、こんなに素晴らしいお話を書いてくれてありがとうございました！！続編のリクエスト、ちょっとじっくり考えます笑。長々とすみませんでした。 (2018年4月29日 13時) (レス) id: 2a62607b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フルリ | 作成日時：2018年4月16日 9時
