彼等 ページ15
彼女が捨て台詞を吐き、勢いよく扉を閉めたところでオビは溜息をついた。きっと扉の向こう側にいる彼女は恥ずかしさで顔が真っ赤だろう、容易に想像できるそれに思わず笑いが溢れる。
先程唐突に述べられた第一印象と尊敬しているところ。褒められたり尊敬されて嫌な気分になる人は少ないと思うが、オビの場合も例外でなくそれらの言葉は嬉しいものだった。
それを思い出して思わず「なんだよアレ…」とぼやく。いつもなら軽口や皮肉で返せるのに、今日の彼女の言葉はあまりにも真っ直ぐで受け止めることしかできなかった。…いや、受け止めきれてはいなかったな、そして反応がアレだ。あそこまで言わせておいてふーん、は少し酷だったか。
冗談、と言っていたがその反応から見る限り全部彼女の本心だろう。天邪鬼な彼女がしそうなことだ。その反応すらも楽しんでいる自分がいていつの間にこんなに影響されてしまったのか、と疑問にも思う。可愛い、なんて言ってやるつもりは毛頭ないが、少しくらい本音を言ってみてもいいかもしれない。
オビは一人で笑みを溢すと、先程からじっと見ている三人の気配にウインクして自室へと帰っていった。
▽△
「ほ、本当に行くんですか、ガラクさん…」
「行くに決まってるでしょう、こんな面白いこと見逃せないわ」
「…帰りたい…」
薬室でオビとAの二人を見送った三人は、ガラク提案の元かなり距離を開けて尾行していた。二人は最初特に会話もなくただ廊下を歩いていただけだったが、部屋の前まで来ると立ち止まり何かを話しているようだった。
Aは先程薬室で提案された策をしているらしい、一生懸命目の前の人物に何かを伝えているような彼女は端から見ても可愛い、と白雪は思う。恋する女の子は誰でも可愛くなれる、誰かがそう言っていた。
だがその後急に彼女は赤くなったかと思うと、ここまで聞こえる声で「ってのは冗談なんで！送ってくれてどうも！」と勢いよく扉を閉めていた。一体彼は彼女に何をしたんだろう。
しかしオビは口元を片手で覆い、Aが入って言った扉を見つめる。その瞳は優しく見つめていて思わず三人はどきりとした。
そして一人で笑うと、見透かすように角に隠れている私たちにウインクを寄越した。
「…オビにはバレてたみたいですね」
「いいのよ、私が見たかったのはAの反応だから」
可愛い反応するのねえあの子、と楽しそうに笑う室長様に二人は顔を見合わせて苦笑した。
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紗夜(プロフ) - 何回も読んで、もう文章覚えてきたけど、大好き。 (2020年1月3日 1時) (
レス) id: 17bb863b6a (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - Hinanoさん» こちらこそコメントありがとうございます！！！キュンキュンして頂けたでしょうか！？そう言って頂けて嬉しい限りです...ぜひとも続編もよろしくお願いします！ (2019年7月30日 13時) (レス) id: d10d29f4b8 (このIDを非表示/違反報告)
Hinano(プロフ) - 本当に本当に本当に素敵なお話でした…吹き出しちゃうくらい面白くて、でもきゅんきゅんして…素敵な時間をどうもありがとうございました！ (2018年6月25日 7時) (レス) id: 853b5b9878 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - ちぎょさん» ちぎょさん、コメントありがとうございます！割と本気で泣きそうになりました！笑私も赤髪のキャラ皆好きで、個性を大切にしたいと思っていたので、そう言って頂けて本当に嬉しいです。こちらこそ、沢山のお言葉にとても励まされました！リクエスト、待っています！笑 (2018年4月29日 19時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぎょ(プロフ) - すみませんふざけましたが本当に。直接伝えたいなあ、こんなに素晴らしいお話を書いてくれてありがとうございました！！続編のリクエスト、ちょっとじっくり考えます笑。長々とすみませんでした。 (2018年4月29日 13時) (レス) id: 2a62607b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フルリ | 作成日時：2018年4月16日 9時
