【ディアラバ】Auf jeden Regen folgt auch Sonnenschein

Prolog ページ3

「おつかれさまでしたー」

やっと終わった…

夜の9時すぎ。
ようやくバイトが終わり、徒歩で帰路につく。
家まで歩くと40分くらいだけど、チャリ事故ったら怖いし、歩いてると40分も時間あるから曲聴く時間たっぷりあるじゃん？という感じで、音楽を聴くのが好きな私は歩いて帰ることが多い。今日も歩きだ。

私にとって音楽を聴く時間は一日の中で一番多い。
私のスマホの中にはほぼアニソンとキャラソンしか入ってないけど私それで大満足。

暗いから人通りの少ない道が自然と多い帰り道。
車もまちまちにしか通らないほどの道だ。

「あ、コウくん」

ディアラバの曲が流れると少し身構えるくせができた私。
夜道で、しかも人通り少ない道でディアラバ聴くと実はかなり怖い。
思わず後ろ振り返っちゃうくらい。

なんて、冗談半分に後ろを振り返ると
目の前には眩しいふたつのライト。

それが車のライトだと気づくことが出来たのは、激しい痛みに襲われた数秒後だった。

多分車に轢かれて、強く道路に叩きつけられた。
頭を強く打ったのか、手に何かがじわじわと伝わって来る。血なのだろう。
うっすらとする意識の中で、車がその場から逃げ去るのが見えた。

おいおい、ひき逃げかよ…。

どうしてか、このままでは一通りもほとんどない道なこともあり、助からないだろうと思っているのに焦りはなかった。
家族が心配するだろうとは思ったが、そもそもあんまり家が好きでもなかったし。

まだ流れたままの音楽。
耳元ではコウくんの歌が微かに聞こえた。

(せっかくなら、このままトリップできたらいいのに、行ってみたいとこは沢山あるしなぁ)

そう考えながら、私は意識を手放した。

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