TRINKET -tkin- 《2》

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慧side






慧「大貴をそうさせたのは俺だ。」






今度はちゃんと、相手の目を見て。






慧「だから、ごめんなさい」






大「なんで伊野ちゃんが…」






泣いちゃダメだ。



今は、泣いちゃダメ。





視界が歪もうとするたび、そう自分を誤魔化して
目をいっぱいに見開いた。






大「家帰ったら……

もう1回ちゃんと話そう？」






大貴はそんな俺に気づきたのか、
点滅する赤にハンドルをギュッと握った。






…そうだね、大貴。




俺らは互いに気持ちを騙しすぎた。





相手に黙ってこんな事し合うなんて、
もうそれだけ歯止めが効かなくなってるんだ。






" この世界は無常観だ "と誰かが言っていたけど、
人の気持ちもそうなのかな？






だとしたら……






慧「…分かった」






もう止めることなんて出来ないの？








雄也side






抱き付いたままの裕翔が、直前少し目を伏せた理由を
俺は知っていたのに。






言い出せずにいるのは、俺も裕翔も弱いから。






でもそんな風に弱くしたのはお互いが
あやふやな言葉で上手く交わしてきてしまったからで。






雄「……裕翔」






初めからこうなること、……辛くなること
きっと二人は分かっていたから。






雄「店まで送って」






だから、ちゃんと二人で話したいんだ。





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