TRINKET -tkin- 《2》

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大貴side





視線を逸らした伊野ちゃんの目から、
ポロリと涙が零れた。





なんで…






慧「おれ、大貴に別れようって言われた日、
すっごい辛くて」






なんで泣くの…





泣きたいのはこっちだって同じなのに。






慧「立ち直れないじゃないかってぐらい。

でもね？その日、高木が俺に元気出しなよって


俺の事、必死に笑わせようとしてくれたの」






大「だから好きになっちゃったの？」






慧「ちがうっ、そうじゃ…そうじゃないの……

自分でも分かんない！


大貴だって、高木の事なんか
気にしなかったらいいのにっ、」






大きな瞳にたまった涙を拭おうともせず
伊野ちゃんはただ俺を見つめる。






大「俺だって気にしたくなんかないよっ

…けど伊野ちゃん、高木に会って変わったから」






慧「え…？」






大「気づいてない？

いつもは彼女みたいに受け身なのに、
高木の前じゃ高木をいじったりバカ扱いしたり…

俺と会わない間に変わっちゃったんだね」






慧「大貴、」






大「俺は伊野ちゃんが好きだよ。

でも伊野ちゃんは俺じゃないの？」






慧「───もうっ！！」






詰め寄る俺に、とうとう伊野ちゃんが声を荒げた。




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