TRINKET -tkin- 《1》 (ページ20)

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雄也side

「じゃ、俺帰るわ」

光くんはひらひらと手を振って帰っていった。

雄「──」

"知ってほしい。その逆も辛いってこと"

光くんの言葉が頭の中を駆け巡って
じゃあ俺はどうすればいいんだ、なんて…

分からないけど、ただ大事にしたいのは
宏太の本当の気持ち。

俺もちゃんと向きわなきゃ。

宏太はたった一人の兄弟なんだから。

.

雄「ありがとうございました」

レジでお客さんに頭をさげて、
ふと視線の先にいるのは伊野尾くん。

ついさっき来てくれて、そっからはずっと
前と同じ棚を見ていた。

…そうだ、俺伊野尾くんが欲しがってるの
チェックするんだった。

雄「伊野尾くーん」

ふと思い出して、接客のフリして
そっと伊野尾くんに近づいた。

慧「たかぎ」

雄「今日も来てくれたんだ」

慧「たかぎが働いてるの拝みにきたの」

雄「はぁ…？」

言いながら伊野尾くんが薄紫色の
Sea glass Ringを棚に戻した。

慧「はは笑

まあそれもあるけど、普通にここの雰囲気が
好きなだけ！」

雄「そう？」

竜「雄也、ちょっとレジよろしくー」

雄「ごめん伊野尾くん、ゆっくりしててってね」

慧「はいよ」

…なるほど。

伊野尾くんはアレを見てたわけね。

なんてニヤニヤしちゃう気持ち悪い自分。

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