TRINKET -tkin- 《1》 (ページ17)

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雄也side

慧「大丈夫！俺男だし笑」

雄「そっか笑

じゃあ…またのご来店、お待ちしております」

慧「はい笑きっとすぐ来るよ、また」

伊野尾くんはそう言って、笑ってくれた。

その頼りない後ろ姿が見えなくなるまで俺は動けずに

ずっと立ち尽くしてた。

……おれ、やっぱダメな人間なのかな。

昔からそう。ずっとダメな人だった。

だからきっと……

俺みたいな奴、伊野尾くんみたいな人
好きになっちゃいけないのにね。

.

それから数週間。

『伊野尾くん、ねこ好きなんだ』

『ね、今度海行こうよ！』

『でさ、こないだ知念が…』

俺の通知は伊野尾で満たされて、週に1回は
伊野尾くんが店に来てくれるようになった。

『たかぎは犬飼ってるくせに動物ニガテなんでしょ』

『え～また海いくの？笑』

『知念、山田好きだね～』

俺が送る何でもない話もすぐに既読つけて、
電話をすれば一時間以上ずっと話してたときだってあった。

最初よりはずっと、距離が縮まったはず…

そんな日。

光「よっ！宏太の弟くん」

雄「光くん…」

伊野尾くんばっかりの世界から
ふと目が覚めた気がした。

『宏太が、雄也の店行くって』

.