Op.6-14 ページ39
目の前にいるのは先程廊下で会った茶髪の少女。その子の視線の先には眼鏡をかけた男性が立っている。
2人とも、第三者の急な登場に驚いたのか瞬時にこちらを見た。
見ようによっては誘拐とも考えられるこの状況に、私はただ呆然と口を開ける。
3人の間に流れる異様な空気。
数秒の硬直の末、私は黒眼をゆっくり動かし女の子と男性を見た。
女の子は廊下で会った時以上に恐怖を露わにしていて、目にはうっすらと涙を浮かばせている。心なしか身体も震えているようだ。
目の前に死神でも見えているのかと疑うくらいの異常な怯え方。
男性の方は見た目こそ一般人と変わりないものの、ギラギラと反射する眼鏡のせいで怪しげな雰囲気を漂わせている。一切の感情も読み取れないその表情に、私の背筋もぞくっとした。
これ、本当にやばいのでは………………。
本能的に危険を察し、もう一度茶髪少女に視線を移した。
バチッと目が合う。
彼女の瞳が大きく揺れたのが分かった。
…………どうすりゃいいんだ……。
助けを呼べばいいのか、それとも見なかったふりをすればいいのか、はたまた私が男をやっつければいいのか。
最善の選択が分からず無表情で彼女を見返す。あまりに居心地の悪い空間だったので、表情筋を動かすのを忘れていた。
そんな私を見て彼女は肩を大きく震わせる。
そして再び男の方を向いたかと思ったら、足で壁を蹴り勢いよく走り出した。
険しい表情で逃げるように走り去る彼女。そして脇をすり抜けていった茶髪少女を確認し、眼鏡をくいっと上げながら細く微笑む男。
私は一連の流れを目で追っていたが、あまりに唐突な事の連続で頭が追いついていない。
「すみません、変なところをお見せしました」
ぽかんとしている私に怪しい眼鏡男は声を発した。想像していた様なドスのきいた低い声ではなく、爽やかな青年ボイスだ。
てっきり脅されると思っていた私は、返事をすることさえ忘れて頭にはてなを並べる。
しかし眼鏡男はそれ以上何も言う気はないらしく、軽くお辞儀だけすると私に背を向けた。
そして茶髪の少女の後を追いかける様に、奥の車両へと消えていった。
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夜空 -Night Sky-(プロフ) - 8号車に近づくな...怒られる原因増えたよ() (2020年7月5日 18時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - ぺんとのーとさん» はい!楽しみにしてます!!! (2020年6月26日 22時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんとのーと(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» いつもコメントありがとうございます!私も書いてて切なくなりました……物語もそろそろ本格的に動きだすと思うので是非お楽しみください! (2020年6月26日 19時) (レス) id: cb2d29bece (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - みんな居ないんだよぉおおおお(泣) (2020年6月26日 8時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんとのーと(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございます。訂正させていただきました。 (2020年5月31日 18時) (レス) id: cb2d29bece (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺんとのーと | 作成日時:2020年5月13日 17時