米花町の音楽家 (ページ35)

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Op.6-10 ページ35

そこに写るのは仲良さげな男性5人。
その中には降谷くんとひろくんもいる。

これは2人が警察学校に行っていた時だ。

当時、お互い忙しい日々ではあったが、幼馴染3人で集まる機会は設けていた。その時稀に他男性3名もいたことがある。
この癖っ毛の人が松田さん、やけにフレンドリーだったこの人は萩原さん、力強そうな人は伊達さん。

最初会った時こそ、何故幼馴染水入らずの時間に邪魔が入るのだと不快に感じたが、何回か会って話すうちに良い人達であるということが分かった。
降谷くんもひろくんも信頼していたし、私も妹のように可愛がってもらったので、友達と呼べる関係にはなれたと思っている。

これは、彼らが警察学校卒業間近だった時に公園で撮った写真。
私も入れと言われたが、やはりここは未来の警察官5人で撮るべきだと断り私が撮影したのだ。
皆成人しているはずなのに、男子高校生の様なはっちゃけ具合である。

「7年も前か……………………みんな元気にしてるかな」

写真を眺め、ぽつりと呟いた。

この写真を撮って以来、松田さん、萩原さん、伊達さんの3人とは会っていない。

もう7年も経ったのだ。
立派な警察官として、日々日本の平和を守ってくれているのだろう。

………………降谷くんは喫茶店の店員だけど。

それに─────────

「ひろくんは何処にいるのよ………………」

そう言葉を漏らし、私は大きなため息をつく。

結局、まだひろくんとは会っていない。
安室透に彼の居場所を聞こう聞こうと思ってはいたものの、タイミングを逃し続けた。

それに、私自身ひろくんと会うのが少し怖い。
ひろくんまで別人の様になっていたら…………と思うと胸が苦しくなるのだ。
　

分かっている。
7年も経てば人は成長する。変わるものだ。
私の知らないひろくんになっていたって、それは当然のことなのかもしれない。降谷くんはもとより、私だって以前と全く同じというわけではないのだから。

それでもやはり当たり前だったことが当たり前でなくなるのは寂しい。
私達3人はずっと仲良し、それは大人になっても変わらないと思っていたのに。

諸行無常。
世界のあらゆる事物は変化し続けるもので、永遠は存在しない。

この言葉は、人間関係にも当てはまるのだろうか。