検索窓
今日:21 hit、昨日:10 hit、合計:282,897 hit

Op.6-6 ページ31

洋服の話題がひと段落し、お互いが無言になった。
恐らく彼は次の話題を探しているのだろう。私も何か話を振らなきゃと考えるが、どこまで踏み込んでいいのか分からず結局黙ったまま。

自分達の足音だけが耳に入る。


そんな時、タイミングを見計らったかのように車内アナウンスが流れた。
私達はその場で立ち止まる。

「お客様にご連絡いたします。先程事故が発生したため、当列車は予定を変更し最寄り駅に停車することを検討中でございます────」

 

「………………何か起きましたけど……」

私はじとっとした目で彼の顔を見上げた。
まさか、本当に何か(・・)が起こるなんて思ってもみなかった。

「…………そうみたいですね。とりあえず、このまま次の車両に行ってみましょう」
「え、あ、はい」

彼は取り乱すことなく、平然と歩き出した。

そっちはさっき言ってた8号車の方だけど、大丈夫なのかな。
そう思いながらも彼についていく。




私は目を見開いた。
 

隣の車両の廊下には、知り合いがわんさか集まっていたのだ。

蘭ちゃんと園子ちゃん。
そして少年探偵団3人の姿もある。

私は急いで安室透の背中に隠れた。
少年探偵団には、私が安室透を見る為毎日ポアロを訪れていたことがバレているのだ。本人を前にそのことを掘り返されたら、たまったもんじゃない。

そんなことはお構いなしに廊下をずかずか進む彼。



遂には、蘭ちゃんに話しかけられてしまった。

「あれ?貴方も乗ってたんですね。安室さん」

幸い私には気づいていないみたいだ。
今彼女達に「A先生!」とでも言われたら、反対側を向いている少年探偵団に気づかれてしまう。

「えぇ、運良くチケットを手に入れたんで。さっき食堂車で、毛利先生ともお会いしましたよ」

隠れている私を不審がりながらも、安室透は笑顔で答える。



会話に花を咲かせる3人。
私は髪で顔を隠し、後ろでじっとしていた。


髪の隙間から様子を伺う。
すると、蘭ちゃんの隣にいた茶髪の女の子と目があった。この子も少年探偵団の一員なのだろうか。恐怖に怯えたような目で私を睨んでくる。

確かに子供からしたら、今の私は背後霊みたいで怖いのかもしれない。

Op.6-7→←Op.6-5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (214 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
347人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

夜空 -Night Sky-(プロフ) - 8号車に近づくな...怒られる原因増えたよ() (2020年7月5日 18時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - ぺんとのーとさん» はい!楽しみにしてます!!! (2020年6月26日 22時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんとのーと(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» いつもコメントありがとうございます!私も書いてて切なくなりました……物語もそろそろ本格的に動きだすと思うので是非お楽しみください! (2020年6月26日 19時) (レス) id: cb2d29bece (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - みんな居ないんだよぉおおおお(泣) (2020年6月26日 8時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんとのーと(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございます。訂正させていただきました。 (2020年5月31日 18時) (レス) id: cb2d29bece (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぺんとのーと | 作成日時:2020年5月13日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。