Op.6-5 ページ30
何か起こったらって何…………。
それで8号車に近づくなって、もっと何…………。
勢いで返事したはいいが、冷静に考えてみると意味が分からない。本当にオリエント急行殺人が起きるとでもいうのか。
私が彼の忠告に首を捻らせていると、当の本人である安室透は、くるりと向きを変え歩き出した。
私は慌てて彼の後を追いかける。
「で、でも、馬鹿は言い過ぎじゃないですか!私にだって事情があるんです!私も驚きましたよ。ホームに着いたら機関車が止まってたんですから」
彼の斜め後ろを歩きながら、さっき言いそびれた文句を言う。
「そうですね。確かに馬鹿は言い過ぎました。すみません」
彼は後ろにいる私をチラッと確認し、ばつが悪そうに謝った。そして一呼吸おいて続ける。
「そういえば、いつもと雰囲気が違いますね」
「服も髪型も、普段と少し違いますから」
「大人しそうに見えます」
「いつもは五月蝿そうってことですか」
「五月蝿そうというか…………Aさんは小さい頃から犬や猫みたいじゃないですか。本能のままって感じで。だから余計、今日が大人っぽく見えるなと」
相変わらず私はツンとした口調。
しかし会話は以前より続いている。
どことなく安室透に子供扱いされている気がして面白くないが。
「でも雰囲気っていったら安室透さんも負けてないですよ。今日の貴方、少し変ですし。それに………………」
私は彼の後ろ姿をじーっと上から下まで見た。
そして再び口を開く。
「貴方もそういう服着るんですね。長い付き合いですけど、そんなプレッピースタイル初めて見ました」
そう。ずっとさっきから気になっていたこと。
今日の彼の服装がどうも落ち着かない。
白シャツに黒のベスト。加えてループタイまで締めている。
彼が大学生の時に私服で会った事は何度もあるが、このような系統の服を着ているのは見たことがなかった。
顔がいいので、人を選ぶこの服装も似合っている。かっこいい。
安室透ではなく降谷くんとしてこれを着ていたら、すぐに写真をせがんでいただろう。
「…………変、ですか?」
私を横目で見ながら、彼は若干不安そうに尋ねた。一瞬目があったが、私はサッと逸らす。
「別に…………上品な感じだし、いいんじゃないですか」
私は心の内がバレないよう、なるべく素っ気なく答えた。彼はそれを聞いて、「よかったです」と安心したように微笑んだ。
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夜空 -Night Sky-(プロフ) - 8号車に近づくな...怒られる原因増えたよ() (2020年7月5日 18時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - ぺんとのーとさん» はい!楽しみにしてます!!! (2020年6月26日 22時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんとのーと(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» いつもコメントありがとうございます!私も書いてて切なくなりました……物語もそろそろ本格的に動きだすと思うので是非お楽しみください! (2020年6月26日 19時) (レス) id: cb2d29bece (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - みんな居ないんだよぉおおおお(泣) (2020年6月26日 8時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんとのーと(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございます。訂正させていただきました。 (2020年5月31日 18時) (レス) id: cb2d29bece (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺんとのーと | 作成日時:2020年5月13日 17時