Op.6-1「漆黒の特急」 ページ26
帰り道、のぼせている頭を冷やそうと近くの公園に寄った。
ベンチに座りさっきの出来事を思い出す。
まだ火照っている顔が、余計に熱くなった。
ひんやりとした手で顔を覆うも、一向に熱が引かない。
落ち着け落ち着け落ち着け。
あれは安室透だ。
あれは安室透。
私の敵。
何度も呪文のように心の中で唱える。
しかし考えれば考えるほど、降谷くんの面影を感じられた喜びで頭が埋め尽くされてしまう。
「………………ありがとう……」
しばらくの葛藤の末、今回は心配してくれたことを素直に感謝しよう、という結論に至った。
そして、先程言えなかった言葉をゆっくり口にする。
心が満たされた私は、笑みをこぼしながらマンションへと帰宅した。
その日の夜───────
「別に安室透が言ったからじゃない………降谷くんが心配してくれた気がしたからだし……………………」
そんなことをぶつぶつ呟きながら、例のピアスを外した。
また良いピアス、見つかるよね。
ピアスの件で落ち着きを取り戻した後、もう一つ自分の犯した失態に気がついた。
「…………少年探偵団に変なとこ見られたなぁ」
今度は、彼らにする言い訳で頭を悩ませるのだった。
♦Op.6「漆黒の特急」
休日の早朝から鳴り止まないスマホの電話。
うるさい。
…………うるさい。
………………………………うるさい。
10回目のコールでやむなくスマホに手を伸ばす。
眠い目を擦りながら「もしもし」と言うと、甲高い声で『Hello!』と返ってきた。
聞き覚えのある声。
まだ寝起きで回らない頭を一生懸命使い、記憶を辿る。
………………あ。
「その声、ルイーズね」
『ピンポーン!大正解!』
この朝っぱらから異常なテンションの持ち主。
彼女の名前はルイーズ・ミシェル。
フランス留学の時、同じアパートに住んでいたフランス人の友達だ。
同じ音楽学校に通っていて、よく一緒にいた室内楽メンバーのうちの1人。
全く分からなかったフランス語を一から私に教えてくれたり、『Rei』になる為パリ中を旅した友人の1人でもある。
確か彼女は卒業試験合格後、ヴァイオリン奏者としてどこかのオーケストラに入ったと言っていた。
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夜空 -Night Sky-(プロフ) - 8号車に近づくな...怒られる原因増えたよ() (2020年7月5日 18時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - ぺんとのーとさん» はい!楽しみにしてます!!! (2020年6月26日 22時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんとのーと(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» いつもコメントありがとうございます!私も書いてて切なくなりました……物語もそろそろ本格的に動きだすと思うので是非お楽しみください! (2020年6月26日 19時) (レス) id: cb2d29bece (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - みんな居ないんだよぉおおおお(泣) (2020年6月26日 8時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんとのーと(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございます。訂正させていただきました。 (2020年5月31日 18時) (レス) id: cb2d29bece (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺんとのーと | 作成日時:2020年5月13日 17時