Op.4-6 ページ17
ど、どうしよう………………。
掴んだはいいが、このあとどうしたら良いか全く分からない。
「まっ……て…………」
視線を彷徨わせながらなんとか声を絞り出す。
彼はきょとんとした顔で私を見た。
これが安室透という人の素の反応なのか。
あるいは降谷くんのポーカーフェイスなのか。
それを確かめる方法を探すため思考を巡らせていると、1つの案を思いついた。
私は掴んでいた腕をぐいっと自分に引き寄せる。
バランスを崩した彼が私の方に倒れ込み、目の前が彼の着ている服でいっぱいになった。
傍から見たら抱き合っている状態だ。
この抱擁感。
この良い匂い。
この安心する感じ。
………………知ってる。
学生の時、何度も降谷くんの胸に飛び込んだ。その度に嫌々言う彼だったが、結局最後は抱きしめ返してくれたのだ。
─────その時の感覚と一緒。
私は身体を離し、彼に向き直る。
彼も私から離れ、黙ってこっちを見た。
先程の貼り付けられたような笑顔ではない。
真剣な表情だ。
「私のこと、知ってるよね」
有無を言わさぬ口調で言った。
彼は何も答えない。
お互いがお互いの視線を捕らえ、無言の時間だけがゆっくりと過ぎていく。
小さくため息をつき再び私を見る。
「Aさん、お久しぶりです」
以前とは少し違う声色で、あまりに他人行儀な再会の挨拶をされた。
しかも、またさっきの作り笑いをしている。
「降谷くん……だよね?安室って誰…………?」
別人のような降谷くんに対し、頑張って笑顔を保ちながら努めて明るい声で尋ねた。
「僕の名前ですよ。僕は安室透です」
さも当然のことのように言われ、口をつぐんでしまう。
頭を整理するためにもう一度彼に質問した。
「降谷零くんではないの?」
「はい」
「私の幼馴染?」
「そうですよ」
「名前は安室透?」
「可笑しいですか?」
可笑しいことしかない。
私の中で『幼馴染=降谷零』なのだ。
しかし彼は『幼馴染=安室透』だと言う。
もし2人の言い分が正しいなら『降谷零=安室透』が成り立つはずなのだ。
でも本人は『降谷零≠安室透』と主張する。
意味が分からない。
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夜空 -Night Sky-(プロフ) - 8号車に近づくな...怒られる原因増えたよ() (2020年7月5日 18時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - ぺんとのーとさん» はい!楽しみにしてます!!! (2020年6月26日 22時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんとのーと(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» いつもコメントありがとうございます!私も書いてて切なくなりました……物語もそろそろ本格的に動きだすと思うので是非お楽しみください! (2020年6月26日 19時) (レス) id: cb2d29bece (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - みんな居ないんだよぉおおおお(泣) (2020年6月26日 8時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんとのーと(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございます。訂正させていただきました。 (2020年5月31日 18時) (レス) id: cb2d29bece (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺんとのーと | 作成日時:2020年5月13日 17時