検索窓
今日:8 hit、昨日:10 hit、合計:282,884 hit

Op.4-5 ページ16

どれくらいの時間が経ったのだろうか。


それぞれの曲を演奏し、弾きづらいところがあったらその指番号を考える。
その番号を楽譜に記入しまた最初から通しでやる。
そして滑らかに指が動くように練習する。

夢中になってそれをひたすら繰り返していた。

いつのまにか、机に指が触れた時のトントンという音さえもピアノの音に変わっている。


ずっと校歌で飽きたから、ショパン弾こっかな。

そう思い鍵盤に指を置いた時───────






「すみません。お待たせしました」


完全にレッスン室にいると思い込んでいた私は、急に現実に引き戻される。

そういえば此処はポアロだった。

「コーヒー豆をきらしてしまって。焙煎(ロースト)したら時間がかかってしまいました」

もう少しでショパン弾けたのに。

名残惜しくも机から手を離した。

「ありがとうござい………………………」



とりあえずお礼を言おうと顔をあげた時。






「え」




思考が停止する。

自分の目が信じられない。

だって黒いエプロンをかけたこの店員




「降谷…………くん……?」



間違いない。

このベージュよりの金髪。

この褐色肌。


降谷くんだ。



まさか此処で幼馴染、ましてや好きな相手と再会するなんて思ってもみなかった。

動揺のあまりまばたきすることも忘れ、彼の青色の瞳をじっと見つめる。


しかしそんな私とは対照的に、彼は笑顔のままゆっくりと口を開いた。

「僕は、安室透です」

それだけ言ってお辞儀をし、そのまま立ち去ろうとする。


安室………透……?

誰?


この状況を理解するために、真っ白になっていた頭をフル回転させる。

人違いなのか。
それとも改名でもしたのか。
だったらなんでなのか。
何故私を見て何も言わないのか。
やっぱり人違いなのか。

考えても考えても一向に解決しない。




そして気づいた時には、立ち上がって、彼の腕を掴んでいた。

Op.4-6→←Op.4-4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (214 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
347人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

夜空 -Night Sky-(プロフ) - 8号車に近づくな...怒られる原因増えたよ() (2020年7月5日 18時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - ぺんとのーとさん» はい!楽しみにしてます!!! (2020年6月26日 22時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんとのーと(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» いつもコメントありがとうございます!私も書いてて切なくなりました……物語もそろそろ本格的に動きだすと思うので是非お楽しみください! (2020年6月26日 19時) (レス) id: cb2d29bece (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - みんな居ないんだよぉおおおお(泣) (2020年6月26日 8時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんとのーと(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございます。訂正させていただきました。 (2020年5月31日 18時) (レス) id: cb2d29bece (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぺんとのーと | 作成日時:2020年5月13日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。