第７９話 ページ33
俯いて私を見ようとしない天に･･･
A「天はどうしたの？」
天「え･･･？」
A「伝えてくれないと何もわかんないよ」
天「っ･･･ごめんなさい、僕はAさんの辛さを、分かったような気でいた、なのにそれを誠也さんに病気の事を聞いて打ち砕かれて･･･
どうしたらいいか、わかんない･･･」
つまり･･･？
A「天は病気の私は私じゃないって言いたいの？」
天「違うっ！そうじゃなくてっ･･･
僕も･･･誠也さんに聞く前はAさんと同じくらい苦労したからわかってるつもりだったんだ
だから憧れたんだ
いつも凛として、常に苦労を表に出さない完璧なアイドルをしてるAさんに･･･
だけどっ、誠也さんに聞いて僕なんか足元にも及ばないくらい苦労してるAさんを聞いたらっ、思い上がってた自分が情けなくてっ･･･｣
なるほどね･･･だからさっきからこの態度か･･･
A「天、他人の苦労と自分の苦労を比べたらそれは確かにちっぽけかもしれない
だけど、自分の苦労が足りないなんて思わないで？
今までの苦労があったからこそ、もがいて、苦しんで、今の自分のがある
だから自分を否定しないで」
天「っ、Aっ、さんっ･･･っ、うっ」
ｷﾞｭｰ
A「大丈夫、私は天が今まで苦労してきたことわかるよ、わかるから･･･」
天「っ！うぁっ！、ふっ、くっ･･･っ」
そう、きっと天は、私程じゃないと言うけど辛い思いをしてるはずだから
じゃないとあんなにひねくれなかったと思う
だって、陸の話す天はとても優しくてお兄ちゃんしてるから･･･
涙を流す天は私の体をきつく抱きしめて離さない
まるでどこにも行かないようにしがみつく子供みたいに･･･
きっと寂しかったんだ、誰にも甘えられず、頼れず、一人で頑張ってきたんだね･･･
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ･･･
A「よく頑張ったね、今までお疲れ様･･･」
天「っ、なんでっ･･･」
A「わかるよ、天は今、涙と一緒に今までの事を吐き出してるんだよ」
天「っ･･･Aさん、っ、僕はっ･･･」
A「うん、どうしたの･･･」
優しく問いかけたら
天の口から語られたのは、まだ七瀬家にいた頃から、九条に引き取られるまでの話だった･･･
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作者名：さっちゃん | 作成日時：2017年1月12日 18時
