今日から始まる。10 黒×紫 ヨコヒナ

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「来ましたでぇー！！」



扉を開けたら、耳聞こえへんって落ち込んでる俺に対して、むちゃくちゃ明るい丸の声と、ニコニコの笑顔。



「………ぶっ……ご機嫌やな」



何故か丸の顔が面白くて吹いてしまった。
もちろん、丸はそんな俺の態度に不服な様子。



「なんなん！せっかく来たのにさ」

「あははっ……すまん、すまん」



丸は不満顔のまま、玄関に入って、扉を閉めた。
俺は笑いながら奥に入った。



「お邪魔します」



そう言って部屋に入った丸が後をついてきた。
寝室の扉を開けると、信五を見つけた丸が、俺を追い越して、信五に近付いた。



「信ちゃん！僕が来たでぇ！」

「………まぅやん」

「そう！お久しぶり！元気印の丸ちゃんやでぇ！」

「…なにそれぇ」


ニコニコして信五に不思議なポーズを見せてたけど、信五は熱あってしんどいから、いつもと違って反応が悪く、丸が滑ったみたいになって、後ろから見てた俺は笑いそうになった。
いつもなら、丸の変な動きに信五は嬉しそうに反応するから、今日はそれが出来へんてことは、体が辛いんやろう。



「…早く元気になってなぁ」



滑った後の丸は、しっかり空気を読んで、いつもより静かな声で信五の話し相手になってくれた。

これで病院に行ける。

丸に任せて、信五に『すぐ帰るから』と伝えて家を出た。

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