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「・・・あの、今の・・・」

それだけ言うのが、やっと。


急に錦戸主任が泣きそうな、
困った顔になった。


眉毛が下がって、可愛いけど・・・


「え・・・
嫌やった?
ごめん。
怖かった?」


あの、錦戸主任がおろおろしてるなんて。


「いえ。
なんか、一瞬で。
びっくりしたけど、
怖いとかじゃなくて・・・
実感なくて・・・」


なんて言ったらいいのか、分かんないから。


焦ってこんな風に言ったら。


錦戸主任、すっごくほっとした顔してる。


それから急に、余裕のある感じで笑って。


「実感ない?
なら、もっかいしたる」


頭の後ろ、軽く手のひらで包まれて、

強引に唇が重なった。


今度は、もう少し長く。


タバコの香りがしてる。


息が出来ない。


苦しい。


なのに、くらくらしてて・・・


こんなに嬉しい事、
今までなかった。


離れてから、

軽く、おでこにキスされる、


「消毒や。
章ちゃんにされてたからな。
あいつ・・・」


やきもちなのかな?

拗ねた声で言う。


いろんな顔。

見せてくれて、

胸がもういっぱい。


「そろそろ会場、戻ろか」


錦戸主任の言葉に、
胸が潰されたみたいに苦しくなった。


寂しい・・・


本当に彼女になれたのかな。


そんなの聞けないし・・・


もう一度、抱きしめて欲しいなんて。

やっぱり言えない。


なのに・・・


「今日から、俺の彼女やからな?
もう離れんなや?」


そう言ってから。

錦戸主任が私を腕の中に閉じ込めた。






ハロウィンの夜。


私は恋の魔法にかかりました。





終わり。

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作者名:fool x他1人 | 作成日時:2017年10月30日 11時

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