Ep16 消える【水貴 智哉】 ページ19
今川碧海にバレてたのは誤算だった。
中学の最初の頃、俺は関西から引っ越してきて白瀬裕大に出会った。
その時にはもう気づいてた。
こいつが俺のお父さんをコロシタ奴の息子なんやって。
最初は憎くて憎くてしょうがなかった。
昔からお母さんより、お父さんの方が好きだった俺。
話がよく合い、いつも笑ってた。
その幸せがアイツの父親のせいでって思ったら。
だから、俺は白瀬を虐めるように指示した。
暴力でなく、精神的に。
でも、純粋無垢な少年は自分が苛められてるってことに全く気づかない。
それどころか俺を親友とか言ってんねんで。
ただ、1度だけボコボコにしたことはあった。
前に今川碧海に見せられた写真は俺が手を下している瞬間だった。
なんで持ってんねん。
という疑問よりどうにかして処分しなくてはという気持ちが大きかった。
───じゃあ、飛び降りてよ、屋上から。───
そう言われた。
たかが写真、されど写真。俺はこの2日で覚悟を決めた。
水「裕大…ホンマにごめんな。お前に罪が無いことは知ってんねん。悪いのは全部俺や。」
誰もいないアザミ学苑の屋上。
俺はそこから空へ羽ばたいた。
過去に羽を折った俺は
そのまま終わることのない
奈落の底まで落ちていった。
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作者名:のあ | 作成日時:2017年3月21日 0時