最初から嘘。

思春期の憂 ページ9

s side

思春期真っ只中だった俺は
メンヘラかってくらい不安とイライラしかない毎日で


阪「俺とおって恥ずかしくないん」


言うてしまった、言わんでもええことを




中学になると、問答無用で出会う人が増えて

もちろん、その中でも
面白い、優しい、スポーツ好き、勉強も中の上

顔も俺からしたら100点に近い、かわいさやと思う

まあ絶対言うてやらんけど

とまあ、なんていうか高すぎるポテンシャルを持ち合わせたAは
すぐにクラスの人気者になったし

クラス関係なく
みんなと挨拶してるんちゃうってくらい
「Aおはよー！」

さっきからずっと声かけられてる、A


というかむしろ
俺と並んでるだけで

あれ、阪本くんってどんな子やっけ？
とか
中谷くんと話してるとこしか見たことないのにA仲良いんだ、
とか


聞こえるように言うてんの？
ってくらい嫌でも聞こえてくるから。


そんな奴に思わず言うてしまった、
俺とおって恥ずかしくないのか直球質問


Aの動きがピタッと止まり

ん？恥ずかしい…？

呟いて首をかしげてる
空見上げて、大きく見開かれてすぐに俺に戻された視線で

「あんたまさか公然わいせつとか、したん……？」

「ま、まじでしたん…？」

そう言いながら

「あ、青やで」


変わった信号を確認すると
けろっとした顔でペダルを漕ぐA


少し先を行く彼女が
眉間に皺寄せて呆れた顔してる俺を振り返り


「匠伍はずっと私と一緒やと思ってるよ」


そう言ったとき

俺はもう
向き合ってこなかった、自分の中のAへの気持ちに
しっかりと色がついた気がして


阪「帰りコロッケ買ってかえろや」


なんも聞こえてないふりして、
ねえ話聞いてた？
なんて笑ってるAを追い越した

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