最初から嘘。

中谷は要らん ページ7

d side

中【今日1の出番同じっすよね？阪本にも伝えてるんで、とりあえずマンゲキ集合でお願い申し上げます】

ﾋﾟﾛﾝ

中谷から来た、何に怯えてるんってくらい他人行儀なLINEをすぐに開き

【りょーかい(^^)】

と返事。

まあ、俺もう着いてるんやけど。
いつもおっそいねん、マユリカって2人とも


なんて思いながら、マンゲキ事務所のお菓子を手に取り、自販機で水を購入

右手に水、左手でネットニュース見ながら廊下を歩いていると

角曲がったとこで

「「…うお」」



阪「ちっす」


堂「おはよう、ごめん水かかってない？大丈夫？」

阪「大丈夫、全然す」


ん、早いな今日

いつも決まって5分くらい遅れて劇場入りする阪本が、何故か5分前にやって来た


堂「どしたん今日ちょっと早いやん」

少し笑いながらそう言うと


あー、と呟きながら
俺の後ろ、ずっと遠くを見つめ
思い付いたように前髪をぐしゃーっと触る

最後に、一瞬だけ目が合って

阪「あんま昨日寝れんかったんすよね、つまりそんな感じっす」


いや分からん分からん、笑


そう笑って返してみる。


阪本は睡眠と酒と風呂がむちゃくちゃ好き
それを知ってるから余計に

阪本にとっては
これまで何年も触れてほしくなかったことに
俺はこれから触れてしまうんかなと

よく分からんけど、モヤモヤ


でも久々に感じる、あの子の顔を浮かべるとじんわり胸が熱くなるこの気持ちに
少しはやってる気持ちがあるのも、事実


やっと俺にしっかり焦点を合わせた阪本が

阪「てか別に中谷要らんわ、サシで夜行きましょ」


堂「おんわかった。」

じゃそれで、お願いしますわ



あんな男らしかったっけ、あいつ

大楽屋へゆっくり歩いていく阪本の背中を見つめながら、そう思った

思春期と→←タイプとかないなあ

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