最初から嘘。

俺が知った日 ページ5

d side


出会いはそやな、

１日何もなかったけど
とりあえず疲れてることだけは覚えてる
そんな日やった





マンゲキ終わりにたまにお世話になる
お世辞にも綺麗とは言えない
とにかく酒が安くてタバコが吸える
スピードメニューばっかりの居酒屋

劇場終わりの辻、中谷、熊プロと入店


とりあえず鳴ってる腹に少量ずつ入れて
めちゃめちゃ飲む奴もおらんから
今日は早いお開きやな

そう思いながら枝豆をゲジゲジ口に押し進めながら
辻の彼女の話、熊プロのファーストキスの話。
いちいち全部に口出してくる中谷のでかい声に
ちょっとだけしかめ面しながら、

それにも突っ込んでくる中谷に、肩震わせて笑う。


今日も特に変わらん１日やったけど
いつもより疲れたなー。

夜ハフに睡眠妨害されたしな
全然寝た気がせえへん

俺が肩ぐりぐり回すのを見ながら

熊「そろそろお開きにしますか〜？」

目の前の熊プロが卓上ティッシュで口紅ガシガシ落としながら言う

気使わせたな？ごめん
そう思いながらも、心では熊プロに手合わせて

2時間で店をあとにして
歩いてなんば駅へ向かう途中

なあ、あれ阪本ちゃう？

あの、黒のパーカーで髪ボサボサの、
そう辻が言う

こじゃれた店に女の子と二人の阪本。


中「あー、そいや今日も劇場来てくれてたなA」

その光景を見つめながら
思い出したように中谷が言う


辻「…あれってもしかして、2人の幼馴染み？
　 あれやんほら、劇場でよう見る」

めちゃめちゃ笑ってはるよなあの人、
そう言いながら納得いった様子の辻


なんか前に盛り上がってたな
兎と辻が話してたのを思い出す


あれがマユリカの幼馴染みか
なんでこんな汚いやつらと仲いいんやろ

あんなかわいらしい雰囲気してんのに。

ずっと目で追ってる、俺含めみんな


かわいいな〜なんでマユリカと仲ええねんおかしいやろー
辻の一言も俺さっき思った、なんて返せんほど


たぶん、俺が一番釘付けやった

こっちまで笑みがこぼれてしまう
コロコロ変わる表情、いちいち大きい動作


…今までなんで気づかんかった？
よう劇場来てるなら顔もなんとなく覚えるはずやけど


中「ぎゃっはー！！
　 A絶対堂前さんの話してるやん！

　 憎たらしい〜阪本の顔で分かるわぁもうっ、
　 ………やばっ」

いや全部聞こえてるて

俺と目があった瞬間、勝手に口から漏れてたわ…呟きながら掌で口を覆う中谷


間違いなく一瞬上がった口角をバレへんように
ゆっくりと、下げた

タイプとかないなあ→←俺も、嘘。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す