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『自分が何を言ってるのか、分かってやす』
彼女の過去に何があったのかも知っている上で、俺は「好きだ」と伝えたのである。しかし彼女の憤怒は治ることはなく、今まで見たこともないくらい恐ろしい表情で俺を睨みつけた。
『じゃあなに、総悟はあの人の肩を持つわけ?』
『A姉ちゃんのお父さんがしたことを、肯定するわけじゃありやせん』
『あんな男、お父さんなんかじゃない!!』
ついに呼吸を肩で始めてしまう。それほど興奮してる彼女は、もはや視界も思考も狭まっていた。
これ以上掻き乱さない方がいいのかもしれないが、ここで引いたら今度こそお終いだ。
『ただ俺は、アンタを好きだっていう気持ちを隠せるほど器用じゃねェんでさァ。だからもう、嘘はやめやした』
祝福しようなんて一時でも思ってしまった自分がいる。そんなこと出来やしないのは始めから分かっていた。
俺は小さく息を吸い、吸い込んだ倍の息を吐くように言葉を吐き出す。
『ねえ、A姉ちゃん。
俺ずっと、アンタが好きだよ』
ずっとと言うのは、正確な期間が分からないくらいに長いからだ。好きだと言うのは、本当に愛しいからだった。
昔は憧れていたのかもしれない。しかし、もう憧れと好意の区別もつかないほど子どもではないのである。
『私は、私が嫌いだよ……』
零した彼女の悲鳴は、空から降る雨粒によく似ていた。
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ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます!! 百年!笑笑 私死んじゃってますね笑笑 そう思うと半年ってあっという間ですね〜。半年後、ちょっとでも今より素敵になっていたら嬉しいです。またお会いしましょう! ありがとうございました!! (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ひなさん» ひなさん! ありがとうございます( ´ ∀`) 最後はちょっとばかり夢主をツンデレっぽくしちゃったので、どうかなー、と思っていたのですが感動的になっていたのなら嬉しいです! また半年後、ひなさんからのコメント待っててもいいですかね!? (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» ありがとー! 半年の前にスマホ買ったらおかえりも何もないんだけどね笑笑 でもここではお帰りになるのか! そしたらさっつんに言ってもらおうかな( ´ ∀`) 閲覧とコメントありがとうね。とても嬉しいです!!! (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - うぃーさん» ありがとうございます!! そのシーンを書きたいがために作った作品といっても過言ではないので、そのシーンが印象的に残ってくださることがとても嬉しいです!! 半年後、またこうしてお会いできることを心よりお待ちしております( ´ ∀`) (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ピピコさん» うわ〜私めっちゃ感情描写を書くのが苦手なんですよ( ; ; ) なのでそう言ってもらえると嬉しいです、ありがとうございます!! 半年後にまた会えると嬉しいです( ´ ∀`) 閲覧とコメントをありがとうございました!! (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年11月14日 19時