トライアングル・リレーション02

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side:Fum






『…お風呂のときくらい、楽にさせてよ』







静かな風呂場は、勝利の小さな呟きさえも拾って響かせた。







『…勝利？』







兄貴が勝利の沈んだ声を心配するように、顔を覗き込むと、それを避けるかのように大きな瞳が伏せられた。







『風磨くんも健人くんも…俺のこと、全然わかってない』







｢…どういう意味？｣







そのへんのやつらよりは何倍も、勝利のことを見てきたつもりだった。






だからこそ、全然わかってないなんて、理解できなかった。







『だって…おれ、おかしい』








潤んだ瞳から、一粒、涙がこぼれ落ちた。








『わかんない、たすけて…っ、俺、ずっと…けんとくん、ふうまくん…っ、頭から離れない…わかんないよ』







たかが外れたかのようにポロポロと泣きはじめた勝利に、焦ったは焦った……







けど、それよりなにより。







｢んだそれ…お前、かわいすぎんだろ、｣







泣いているところは見たくないけど、その原因が自分で、頭から離れなくて困ってるから、とか







心臓が張り裂けそうなほど愛おしい。







それは兄貴も同じみたいで







『…はぁ、勝利、やっぱ小悪魔だな』







『…ん、なに、人がっ…真剣に』







｢あーもう、おら、泣くな｣







俺が少し乱暴に右頬の涙を拭うと、兄貴は左頬の涙を優しく拭った。







『いたい…、いたい、ふうまくん』







｢いーの、これくらいやんねぇと強くならないから｣








『すきなこには優しくするもんだぞ？』








｢るせぇな、エセ王子｣








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